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== ミステリ古典 ==

ペニーフット・ホテル受難の日

ケイト・キングズバリー
創元推理文庫
★★★★



イギリス沿岸のホテルで起きた事件をめぐる人間模様を描いた人気シリーズ

【あらすじ】
1906年、時はエドワード王朝時代。
イギリス南東部沿岸の田舎町に建つペニーフット・ホテルで
宿泊客の女性が遺体で発見された。
遺体の状況から屋上から墜落したと思われたが
不審な点に気づいたホテルの女主人セシリーは
持ち前の行動力を発揮し、忠実な支配人のバクスターとともに
不可解な事件の真相究明に乗り出す。
優雅なホテルを舞台に繰り広げられる難事件と
紳士淑女の人間模様を描くベテラン女流作家の人気シリーズ第1弾。

【読みどころとポイント】
1993年にスタートした本シリーズは既に12作以上を超す人気の長寿シリーズ。
舞台となるペニーフット・ホテルは上流階級に人気の快適な宿だ。
本シリーズの読みどころは何と言っても個性派ぞろいの登場人物たちと
事件をめぐって繰り広げられる多彩な人間模様である。

女主人のセシリー・シンクレアは半年前に世を去った主人の遺志を継ぎ
持ち前の明るさと行動力でホテルを切り盛りする毎日。
時折、亡き夫のジェイムズを思い出し寂しさを感じる事もあるけれど
ホテルでの仕事は彼女にとって生きる証、元気の素なのだ。

そんな彼女にとって最も大切なペニーフット・ホテルで起きた事件。
簡単な捜査で事故と断定してしまう警察に不満を抱き
制止する支配人のバクスターを振り切って事件の真相究明に奔走する。

物語全体がゆったりとしたペースで暖かみのある語り口が心地よく
事件にも陰惨さがなく全編がほのぼのとした雰囲気たっぷりで
古きよきイギリスを満喫できるハートウォームなミステリ。
アガサ・クリスティのミス・マープルシリーズが好きな人には
おススメのシリーズと言えるだろう。

セシリーの事件の探求が物語の主軸であるが
ホテルで起こる日常の些細なトラブルやドタバタ劇も楽しい。
ホテルの奇抜な催事係を務める見栄っ張りのフィービー、
生意気でゴシップ好き、毒舌たっぷりのメイドのガーディ。
ホテルの常連客でちょっとおかしなところのあるフォーテスキュー大佐、
セシリーの片腕役としてセシリーに忠誠を尽くすバクスターなど、
彼らの織りなす人間ドラマが舞台劇を見ているようで愉快だ。

些細な手がかりを積み上げて難事件の真相を究明するプロットは
本格ミステリが好きな読者でも楽しめる内容。
宿泊客ひとりひとりに向けるセシリーの優しい洞察力が
事件究明のポイントになっている点も嬉しい。
ミステリ好きもそうでない人にもぜひ読んで欲しい作品だ。

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== ミステリ古典 ==

予告殺人

アガサ・クリスティ
ハヤカワ文庫
★★★☆



地元新聞に載った殺人予告。ミス・マープルの推理が冴えるクリスティの秀作。


【あらすじ】
ミドルシャー州の小さな村チンッピング・クレグホーンに
毎週配達される地元新聞「ギャゼット」。
その広告欄に奇妙な文章が掲載された。
「殺人お知らせ申し上げます。10月29日金曜日、午後6時30分より、
 リトル・パドックスにて、お知り合いの方のお越しをお待ちします…」
リトル・パドックスは村の下宿屋だ。
記事に興味を示した村の人々がぞくぞくとリトル・パッドクスに集まる。
かくして、時計が六時三十分を指したとき突然明かりが消え銃声が…。

【読みどころとポイント】
久しぶりにクリスティを読んだ。中学の時以来だろうか。
と言っても、本作は初読了。
限定された家の中での殺人、容疑者はおのずと絞られる典型的な設定。
それでも、殺人予告のお知らせという導入部は
当時かなりセンセーショナルだったのではないだろうか。

まあとにかく、限定された場所での殺人であるし
クリスティはミスディレクション(誤った方向へ読者を導く)がうまいので
どの容疑者も怪しく見えるのです。

謎解きの伏線や手がかりも丁寧に披露されていくけれど
まじめな読者ほど犯人は絞れないだろう。

クリスティの作品のほとんどに言えることだが
説明的な描写があまり無く、
複数の登場人物たちの会話を中心に構成されているので
まるで舞台劇を見てるような感覚なのである。
会話もどこか芝居がかったユーモアさがあり
連続殺人があっても作品が暗くならないのが特徴。
特に老婦人素人探偵マープルものはその典型。

冷静に考えると、
こんな広告そもそも新聞社が乗せるのだろうかという素朴な疑問や
新聞見ただけで都合良く村の人々が集まってくるのだろうか
なんてことをつい考えてしまう。
ただ前述のように、
クリスティ作品は観客が納得ずくのお芝居としての仕立てがあり
多くの評論家曰く、英国ならではの風刺や喜劇の要素が根底にあるので
設定の強引さをある程度許容できてしまうのだろう。

ずばり、ミステリを読み慣れた読者なら
最初から犯人はわかります。
ファンの間では本作は上位にランクインしており
クリスティも自らのベストテンの一冊にあげているが
私はさほどずば抜けた作品とは思わない。
しかしそれでも、私はこれを読めと言いたい。
なぜって
紅茶とケーキをいただきながらクラシックをかけて
心地よく楽しめるミステリって、そう無いじゃありませんか。
長く読み継がれる所以です。




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== ミステリ古典 ==

誰の死体?

創元推理文庫
ドロシー・L. セイヤーズ

★★★



貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿が難事件に挑む英国ミステリの逸品

【あらすじ】
ある朝、建築家のフラットの浴室で見知らぬ男の死体が発見された。
しかも男は全裸で身につけているものは金縁の鼻眼鏡だけ。
一見すると貴族のようだが
遺体には労働者階級を思わせる痕跡も。
一体これは誰の死体なのか? 
解決にあたるのは、デンヴァー先代公妃を母にもつ
貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。
クリスティと双璧をなすと言われるミステリの女王
ドロシー・L・セイヤーズの記念碑的作品!

【読みどころとポイント】
読みどころはもちろん
皮肉とユーモアとウイットに富んだ会話を連発しながら、
事件を解決に導く貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿のキャラクター。
脇を固める従僕のバンターや警察のパーカーも助演賞もの。
個人的には母親のデンヴァー先代公妃が好きですね。
虫眼鏡で現場の痕跡を仔細に観察し
“はんはん”と言いながら独自の推論を組み立てる
古き良き時代の探偵ものの雰囲気がたっぷり味わえます。
名探偵ぶりを際立たせるために
警察の捜査も無能に描かれている点など
黄金期のミステリには多く見かけられる点もあります。
犯罪にいたる動機やトリックにも
現代ミステリに精通した読者なら
首をかしげる人も多いと思いますが
英国貴族社会の気品あふれる会話や博識を好む人には
好きになること間違いなしの作品。
論理的な推論構築よりも
心理的なかけひきに重点をおいたことも
E・クイーンやヴァン・ダインの作品とは趣を異にし
独自の世界観を際立たせています。
一時絶版でしたが、1990年代に入って新訳で再販され
現在は入手もしやすくなっているので
興味をもった方はぜひ手に取ってみてください

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