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== マンガ ==

COPPERS

オノ・ナツメ
講談社モーニングKC
★★★★



ニューヨーク市警51分署の警官たちの活躍を乾いたタッチで描く短編集

【あらすじ】
アメリカニューヨークのブロンクス地区にある
NYPD(ニューヨーク市警)51分署の警官たちは実に個性的な面々。
各々独自のスタイルで今日も大都会の片隅でパトロールに奔走中。
大都市ニューヨークに渦巻く警官と市民の人間模様を
乾いたタッチだけれどハートウォーミングに描く
オノ・ナツメ版、アメリカ警察ドラマの傑作!

【読みどころとポイント】
それにしても、オノ・ナツメはいい。
どこか乾いたタッチで登場人物のセリフも最低限。
タッチもカット割りもイラストレーションっぽくて
マンガっぽくないんだけれど
この作風が本作に実にマッチしてるんだな。

多くの言葉を語らない登場人物一人ひとりは
それなりに悩みや課題を抱えているけれども
心の奥底に警官であることの矜持を持っている。
そんなニューヨーク市警の警官たちを軸に進むストーリーは
大都会に渦巻く人間模様をいきいきと描き出しているのだ。

当然ながらマクベインの「87分署シリーズ」を意識しているだろうけど
あまり派手なアクションや陰惨な事件は起きず
静かだけれど心地よい余韻と感動のあるストーリーが展開。

常に冷静沈着、部下からの信頼も厚い警部補ヴォス。
のんだくれの万年ヒラ最古参刑事、心優しき庶民の味方タイラー。
交際相手からプロポーズされ、警察を辞めるべきか悩む女警官モーリーン。
自己管理力ゼロのお調子者、新米刑事のヴァル。
ヴァルのような問題児の教育を押し付けられる模範刑事キース。
気弱で何をやってもうまくいかない内勤巡査のハウスマン。

一人ひとりのキャラクターも実によく立っていて
読み終えた後でも、何度も彼らに会いたくなってしまう。
今のところ2冊のみであるが、Season1となっており
作者によると、今後の続編も予定されているらしい。
早く彼らにまた会いたいものだ。



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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== マンガ ==

ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~

少年チャンピオン・コミックス・エクストラ
宮崎 克(原著)、吉本浩二(イラスト)
秋田書店

★★★★★




漫画にかける手塚治虫と彼をとりまく編集者たちの熱き戦いのドラマ。

【あらすじ】
不朽の名作ブラックジャックはいかにして誕生したのか?
手塚治虫の漫画はいかにして作られていたのか?
彼を支えた編集者たちの漫画にかけた情熱とは?
漫画の神様の制作現場には想像を絶する格闘のドラマがあった。
”手塚治虫の創作の現場を関係者の証言で再現する魂のノンフィクション!

【読みどころとポイント】
私がブラックジャックにハマったのは小学校6年生の頃だったと思うが
わずか数十ページの中に凝縮された濃密な人間ドラマに
子どもながら圧倒されて夢中で読みふけったものだ。

本書はブラックジャック創作秘話というタイトルになっているが
内容的には手塚治虫と彼をとりまく編集者たちの
壮絶な漫画制作の舞台裏を追った熱きドキュメントである。

鉄腕アトムやジャングル大帝で大ヒットをとばした手塚治虫は
1,960年代後半になると劇画漫画が台頭するようになり、
スランプ状態に陥りアニメ事業の多額な負債も抱え虫プロは倒産。

「もう手塚は終わった」と世間も噂するようになる。
そこに名物編集長、カベさんこと「壁村耐三」が少年チャンピオンの編集長に就任し
手塚治虫に連載をもちかけ、彼は見事ブラックジャックで奇跡の復活を果たす。

このカベさんというのが実にヤクザな編集長で
担当編集者に「手塚の原稿とれなかったらぶっ殺す」と脅し
漫画家に対しても脅迫まがいの事を繰り返す鬼のような男なのだ。
それだけに手塚の編集担当者も必死だ。
本書を読むとマンガというメディアが
いかに漫画家と編集者の二人三脚で成り立っているかというのが実感できる。

手塚治虫の作品作りにかける情熱はすさまじく妥協を許さない性格ゆえ
締め切りを守らないのは日常茶飯事。
たくさんの連載を抱え各社の編集担当者が原稿回収にシノギを削る。
そんな中で自分の担当原稿を一番に仕上げてもらうのに誰もが必死なのだ。

手塚治虫は常に3~4本のアイデアを考え
その中から編集担当者に一本に絞ってもらっていたそうだ。
手塚治虫渾身のストーリーだけに選ぶ方も真剣勝負。
いいかげんな態度や妥協は許されない。

途中、漫画の神様と言われている手塚治虫が
疲労困憊になりぼろ雑巾の様に床で眠るシーンが出て来る。
手塚の原稿遅れにキレた編集担当者が事務所の壁を壊す場面も出て来る。
これが神様の創作の舞台裏。まさに魂のぶつかり合い。命がけの格闘技なのだ。

本書の漫画のタッチはお世辞にも上手い絵ではないのだが
貪るように漫画と格闘する手塚治虫の鬼気迫る表情や
漫画にかける彼の熱い想いを迫真の描写で再現していると思う。

手塚治虫はスゴかった。そしてそれを影で支えた男たちもまたスゴかった。
今日のマンガがあるのはこうした人々の
血のにじむような格闘の日々があったからにほかならない。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== マンガ ==

宇宙兄弟(3)(4)

小山 宙哉
モーニングKC
★★★★★



完全閉鎖環境での2週間耐久試験に挑むチャレンジャー六太の奮闘

【あらすじ】
宇宙飛行士選抜試験の第3次試験にたどりついた六太。
そこでJAXAが用意したのは完全閉鎖環境での耐久テストだった。
5名×3グループに振り分けられた受験者たちは、
各グループごとに閉鎖空間に放り込まれる。
外界から隔絶された環境で相次ぐトラブル発生に
日毎に亀裂が深まっていく受験者たち。
六太ははたしてこの過酷な2週間を乗り切れるのか?

【読みどころとポイント】
すごい!早くも3・4巻にしてクライマックスが訪れる。
この閉鎖空間での2週間はすごいぞ。

考えてみれば宇宙飛行では
長期間他人と狭ーい閉鎖環境で過ごさなければならない訳で
そのストレスたるやハンパじゃないと思う。
それをこれでもかとつきつけられるのがこのテストだ。

自己チューな奴、自信満々の奴、何考えてるかわかんない奴…
個性的な連中をグループに配して
全員ライバルでもあり仲間でもあるという矛盾を設定したところがいい。

振り分けられたグループのメンバー5名から
最終的に2名をグループ内で選ぶというのも過酷だ。

でも何よりイイのが、六太が
この閉鎖環境の中でその性格の良さをたよりに
グループ内の空気を変えていくところだ。
組織ではなく矛盾を抱えた少数の運命共同体という中では
強烈なリーダーシップが常に力を発揮するとは限らないのである。

作者が周到に用意した舞台設定は
ちょっと不器用でカッコ悪くも心優しい主人公を
ぐっと際立たせる仕掛けに満ち溢れているのである。

彼がはたしてどんな立ち回りを見せるのかは
読んでみてのお楽しみ。文句なしの星5つ!

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== マンガ ==

宇宙兄弟(1)(2)



小山 宙哉
モーニングKC
★★★★★

壮大な宇宙への夢とロマンに挑む若き兄弟のチャレンジストーリー

【あらすじ】
幼少時代に星空を眺めながら
宇宙飛行への約束を交わした兄弟がいた。
時は流れて2025年、弟は約束どおり宇宙飛行士となり、
月面の第1次長期滞在クルーの一員となっていた。
一方、普通の企業に就職した兄は
上司とのトラブルから会社をクビになり無職となった。
自暴自棄になった兄のもとに弟からの1通のメールが届き
諦めていた宇宙飛行士への道に兄六太はチャレンジをはじめる。

【読みどころとポイント】
同僚から貸していただき初トライ。
いい、スゴくいい!
デキル弟にプレッシャーかけられて
まわりから後押しさればがら
不器用に宇宙飛行士への道にトライしていく
カッコわるいけど心優しきアニキの奮闘ぶり。
あ~何だか今の自分が求めてたマンガかも。

子どもの頃、アニキの方が優秀だったのに
いつの間にか弟はトントン拍子に宇宙飛行士に。
アニキたるものという自信は
いつしか弟への劣等感に変わり
宇宙飛行士の弟を応援しながらも
どこかで自分を卑下する兄。

弟はどこかで不甲斐ないアニキに頑張って欲しいと思っている。
ポーカーフェースだが兄の成功を純粋に応援する弟の日々人。
不器用でカッコよくないけど心や優しき努力の人、兄の六太。
この二人のやりとりがいいんだな。

子どもの頃二人で描いた
宇宙飛行士への道を現実にした弟と
普通の仕事についたものの
上司とのトラブルで会社をおわれた兄。

子どもの頃の夢を実現出来る人ってほんのわずかなんじゃ…。
な~んて思ってる人たくさんいると思う。
とりあえず無難に大学行って、無難に就職して
どこか今の仕事にギモンを感じつつも
“やりがい”と“自分探し”の間を行ったり来たりしたりして。
兄の六太もそんなひとりだ。

一方の宇宙飛行士に抜擢された弟の日々人は夢を実現したのか?
答えはNOだ。
日々人の夢は“二人で”宇宙に行く事だから。
タイトルを“宇宙兄弟”とした意味はここにある。
二人の目標は月面着陸のずっと先「有人火星探査」だ。
弟に後押しされ、ついにJAXAの難関試験に挑む六太。
はたして二人の夢は成就するのか?
今夜だけはミステリをお休みして3巻に突入だ!

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== マンガ ==

ラスト・ワルツ

島田虎之介
青林工藝社
★★★★★



知られざる人生、語られなかった物語が紡ぎだす歴史の一大叙事詩

【あらすじ】
そこらにいる普通の人、たまたま出会った人々が
実は世界の歴史に一役かっていたとしたら。
そんな知られざる人生、語られなかった物語がひもとかれる時
我々は連綿と続く歴史の海に身をゆだねる事になる。
現代のマンガ界においてひたすら物語の可能性を追求し続ける
孤高の作家シマトラが贈る壮大な叙事詩

【読みどころとポイント】
さて島田虎之介=シマトラの作品の登場である。
シマトラは2008年に「トロイメライ」で手塚治虫文化賞新生賞を受賞した
知る人ぞ知る実力派のマンガ家だ。

初めて読む人はまずこのマンガの読みにくさに唖然とするかもしれない。
マジックでひたすら描きこんだような個性的な作風。
一見何のつながりも無いようなシーンの連続。
一読しただけではわからず読者に想像力を強いる短いセリフまわし。
しかしここで投げ出してはいけない。

ここには私たちが知らなかった壮大な歴史のドラマがある。
本書に収められた11の短編は語られなかった過去へ我々を誘うのだ。

いくつかの短編を紹介すると、
伝説のバイク開発に隠された沈黙の歴史、
チェルノブイリで独り生き残った消防士の孤独、
ガガーリンに有人宇宙飛行を譲った元飛行士の苦悩、
60年の時を経て日本に帰国したブラジル移民の追憶…など。

これらが独立した読み応えのある物語であるばかりでなく
個々の物語がラストのクライマックスに向けて
複雑に絡み合いながらドラマチックに結実していく。
いやー何というマンガだろう。

表層的でビジュアル重視の現代マンガに迎合せず
あえて重層的な歴史ドラマを持ち込み
丹念に緻密なエピソードを積み重ねながら
ひとつの壮大な物語を構築するという試みだ。

歴史の中に埋もれた人々の孤独と人生の喪失。
しかし最期の最期に
シマトラは永きにわたる喪失の物語を
未来へ続く希望の物語へと見事に昇華させた。

かつて手塚治虫が「火の鳥」や「アドルフに告ぐ」といった
重厚な物語で紡ぎだした“物語としてのマンガの感動”を
もう一度我々に提示してくれる素晴らしい作品。
定価¥1,300の価値はあるよ!恐れ入りました。

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