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== ノワール ==

ハード・キャンディ

アンドリュー・ヴァクス
ハヤカワ文庫
★★★☆



ニューヨーク暗黒街に巣食う秘密教団に挑むバークの活躍と葛藤を描く第4弾


【あらすじ】
最愛のブルー・ベルの死を想いを今だ断ち切れないバークのもとへ、
旧友の女性キャンディから連絡が入った。
エルヴァイラという15歳の娘を、ある教団から救い出してほしいというのだ。
教団に赴いたバークは娘の救出に一旦は成功するものの
事の背景はそう簡単なものではなかった。
ニューヨークの裏社会を巧みに描き出したシリーズ4作目。

【読みどころとポイント】
今回もニューヨークのアンダーグラウンドでハードな闘いが展開する。
あいかわらずの大都市の裏社会のリアリティある描写が秀逸である。

今回は一流の娼婦となった幼なじみの女性からの依頼が発端。
娘の救出に向かったバークだったが、教祖はあっさりと身柄を引き渡し
逆に、自分をつけねらう暗殺者からの襲撃を防ぐための相談をバークに持ちかけるのだ。
その男は、バークが最も恐れる殺人鬼「ウェズリィ」だった。
ウェズリィもまたバークにとっては旧知の間柄なのだ。

本作はシリーズ1作目の「フラッド」、2作目の「赤毛のストレーガ」
そして3作目の「ブルー・ベル」の節目となる重要な作品である。
これまでの仕事でたまったツケにバークは決着をつけなければならない。

前作では、ある理由から仕事を外されていた盲目の戦士「音なしマックス」や、
闇の技術者であるモグ ラ、予言者のプロフェット、オカマのミシェル等、
いつものバークファミリーも総登場。その活躍もいつもに増して健在だ。

今回もミステリアスな悪女と強烈な殺し屋が登場するのだが
物語は単純な敵との闘いといった内容ではなく
ニューヨークという大都市の闇に巣食う犯罪との闘いがテーマである。

裏社会に生きながらも非常に徹する事のできないバーク。
ある時、バークはウェズリィにこう言う。
「おれはあんたになりたかったんだ」と。

物語のラスト近くにキャンディはバークにこう言う。
「あなたは弱くて、やわな男よ。けっしてハードじゃなかった。」

闇社会の悪を糾弾するスーパーヒーローでもなければ
犯罪者に徹するヒールでもないバークの心の葛藤は
これからも続いていくのだろうか…。
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== ノワール ==

明日への契り

ジョージ・P・ペレケーノス
ハヤカワ文庫
★★★★★



男たちの生きざまと哀しみ、そして誇りを高らかに描いた傑作

【あらすじ】
ワシントンDCでレコード店を営むマーカス・クレイは
相棒のディミトリ・カラスと4つ目の新しい店を開いたところだ。
その店の前でスピードを出しすぎた自動車が事故を起こし車は炎上。
たまたま近くに居合わせた白人の若者が
炎上する車の中に大金を見つけ持ち去ってしまう。
その金は、実は地元を牛耳るコカインの売人タイレルのものだった。
偶然現場を目撃した少年アンソニーからその話を聞いたマーカスは
彼に危険が及ぶ事を案じたが、やがて組織の手は徐々に少年に迫ってきた。
ワシントンDCの裏面史を描くサーガ第3弾。

【読みどころとポイント】
1作目の『俺たちの日』でペレケーノスのファンになった人も多いと思うが
今回もその期待を裏切る事無く素晴らしく感動的な物語に仕上がっている。

舞台となっている1980年代のワシントンDCは街が腐敗し
90年初頭には市長までが麻薬所持で逮捕されるほどの状況だったそうだ。
そんな汚れた卑しい街を舞台に生きる男たちの夢や挫折、
哀しみ、そして誇り高き生き様を実にいきいきと描かれている。

妻や息子と別れ失意にありながら復活にかけるマーカス、
出来心で大金を盗んでしまった若者エディ、
ヤクに日々逃避するろくでなしのディミトリ、
盗難現場を偶然見かけた貧しくも純粋な心を持つ少年アンソニー、
街を牛耳る売人タイレルと冷酷な手下たち、
タイレルから賄賂をもらいながら街を徘徊する警官。

さまざまな事象が複雑にからみあいながら
誰もが逃れられない状況がつくられていき
それが徐々に沸点に達しクライマックスへなだれこむ。
頁をめくる手が徐々にスピードアップしていく興奮。

ノワールとしての緊迫感ももちろんよく出来ているのだけれど
それよりも随所に織り込まれるエピソードが実に感動的。
アンソニーに別れた息子を重ね合わせ手を差し伸べるマーカス。
悪事に手を染めながらも心を病む妻を思いやる警官ケビン。
どれもこれもが一読忘れ難い名シーンなのである。

本3部作の前に既にワシントンDCを舞台にした2作があり
この後にもサーガ完結編の『生への帰還』が続いている。
登場人物が何世代かにわたって描かれていくこの物語は
すべて読破しなければならないと改めて心に誓った。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== ノワール ==

ブルー・ベル

アンドリュー・ヴァクス
ハヤカワ文庫(絶版)
★★★★★☆



アウトロー探偵とベルの激情が胸を打つバークシリーズの最高峰!


【あらすじ】
探偵バークに一人のストリッパーから依頼があった。
ベルと名乗るその女は大柄でグラマラスな肢体を持っていた。
彼女の話では〈幽霊ヴァン〉なる不気味な車が界隈に現れ
少女売春婦だけを次々に襲い射殺や拉致を繰り返しているというのだ。
依頼を受けたバークは真相を探り始めるが、
逆に死神の空手使いから狙われるハメになってしまう。
現代ネオハードボイルドの鬼才ヴァクスが描く
アウトロー探偵バークシリーズの最高傑作!

【読みどころとポイント】
ニューヨークのアンダーグラウンドを舞台に
アウトロー探偵バークが活躍するシリーズ第3弾。

弁護士でもある作家のアンドリュー・ヴァクスは
法の目をかいくぐる幼児虐待や性犯罪をテーマに
探偵バークとそのファミリーが犯罪者に鉄槌をくだす物語を描く。

今回も〈幽霊ヴァン〉なる不気味な車が出没し
次々に少女を手にかけていくダークな展開だ。
第1作目、2作目ともに印象的な女性キャラが出演して
バークは彼女たちの依頼で仕方無く事件に巻き込まれるのだが
今回も基本的な構成は同じ。

それでも本作がシリーズの最高傑作たる所以は
ストリッパー「ベル」の圧倒的なキャラクター設定だ。
大柄で素晴らしい肉体を持つベルは
ストリップでも官能的な動きで男たちを挑発。
バークにも持ち前の存在感でぐいぐいと迫ってくる。

時には激しく時には可愛い女豹のようにふるまうベルに
バークもいつしか心を開き彼女との愛に溺れていくが
天真爛漫で奔放に見えたベルにはどす暗い過去があった。

親しくなったバークに自らの出生の秘密を明かすベル。
その悲劇によって彼女の身体に流れる黒い血は
ベルの容姿にも影響を及ぼし心にも深い傷を残していたのだ。
バークとベルの激情的な愛を軸に物語はつき進む。

バークの脇を固める闇のファミリーの面々も健在。
スパイをつとめるオカマのミシェルや浮浪者のプロフ、
科学技術者で爆弾の扱いにたけたモグラや空手使いのマックスなど
個性豊かなやつらが物語をさらにワイルドに盛たてる。

バークとベルの狂おしいまでの激情は
物語のクライマックスに向けてぐんぐんと加速し
読む者をハイテンションのまま衝撃の結末へと導いていく。
闇の敵との激闘の末に訪れる哀切極まりないラストシーン。
結末はただひたすら悲しく読後いつまでも心に残るだろう。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== ノワール ==

赤毛のストレーガ

アンドリュー・ヴァクス
ハヤカワ・ミステリ文庫
★★★☆




アウトロー探偵と闇の仲間たちが幼児虐待犯を追いつめるシリーズ第2弾!

【あらすじ】
ある日燃えるような赤毛の女がアウトロー探偵バークをたずねてきた。
ある少年のポ ルノ写真を取り戻してほしいというのだ。
ストレーガ(魔女)と呼ばれる彼女にはトラブルの匂いがした。
結局、彼女の誘惑に屈し調査を引き受けたバークだったが
予想通り事件には未成年ポルノ業界の闇のビジネスがからんでいた。
前科27犯のアウトロー探偵バークとその仲間たちが
幼児虐待犯を追いつめる闇のシリーズ第2弾。 


【読みどころとポイント】
第1作目同様に、どう見ても胡散臭そうな相談が持ち込まれ
介入に難色を示すバークだったが、赤毛の女に翻弄され
結局幼児虐待犯を追いつめる役を買って出ることになる。

本作では前科27犯のバーク自身の過去が大分明かされ
仲間とのヤバい立ち回りや刑務所時代の苦い回想が語られる。
この点は本作の危ない雰囲気づくりに一役買っている。

バークを幼児虐待犯罪の渦中に導く女ジーナは
ストレーガ(魔女)と呼ばれるとおり
燃えるような赤毛で妖しい色香を振りまきバークを誘惑する。
ただし、ジーナがバークに対してあまりにも奔放な女に書かれているので、
彼女が幼児虐待犯を道徳的観念から憎悪する点にはいささか疑問が残る。

バークシリーズは主に幼児虐待が犯罪のテーマであるが
作者のヴァクスが子供に関する事案を主に扱う弁護士でもあるという事で
彼の考えが強く反映されているということらしい。
今回のミッションでは、幼児虐待犯宅から違法に撮られた幼児の写真を
速やかに回収するという事が目的であったが
途中から徐々に幼児虐待犯に制裁をくだす目的に変わっていく。

このあたりは作者の思想が色濃く反映されての結果だと思うが
作品としてとらえると、バークが幼児虐待犯退治に入れこんでいく理由が
もうひとつ明確に書かれていないのが残念。
作者の私的な意図が物語に先行してしまうと
小説は説教本のようになってしまう危険性もある。
この点は今後の展開の課題と思える。

そしてもうひとつ気になった点は
バークのアウトローぶりを彼のモノローグで説明する場面が多過ぎること。
この手の小説でやたらと主人公に自分を説明させすぎると
かえって緊張感が無くなり読者はしらけてしまうのだ。

若干の課題はあるものの、シリーズの2作目である本書では
バークの脇を固めるファミリーの面々が随所に登場し興味深い。
男娼のミシェルや浮浪者で情報屋のプロフ、
メカに詳しい技術屋のモグラ、頼れる豪腕相棒の音なしマックスなど。
闇の個性派軍団が違法スレスレのところで多彩な活躍を見せてくれる。
次作はシリーズ傑作と言われる「ブルー・ベル」だ!

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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友はもういない

ユージン・イジー
ミステリアス・プレス文庫(絶版)
★★★☆



幼馴染の金庫破りと麻薬捜査官、運命の交錯を描いたクライム・ノヴェル!

【あらすじ】
シカゴの金庫破りフェイブと麻薬課の捜査官ジミイ。
子供時代からの親友でありながらまったく別の道を選んだ二人。
お互い相手の仕事 には干渉しないはずだったが
フェイブが相棒と押し入った部屋で、
無惨な女の死体と大量のコカインに出くわしたことから事態は急変する。
クライム・ノヴェルの次代を担うと賞賛されたユージン・イジーのデビュー作。

【読みどころとポイント】
悪くない、なかなかイケてるぞこいつは。
シカゴの裏社会でシノギ削る者どうしの抗争を背景に
大泥棒と麻薬捜査官の立ち振る舞いを描いた
B級ノワールの匂いがプンプンする作品。

朽ち果てた金属にペンキを無造作に塗りたくっていくような
無造作で荒々しい文章で構成された物語は
ワルがままに書いた雰囲気たっぷり。

人を殺すのを何とも思ってない連中もいっぱい登場。
簡単に銃を仲間の顔面にぶっ放しちゃいます。
日本の昔のヤクザ映画のような血の契りなんてものは皆無。
スキあらばてめえの親分も裏切ってやろうっていうような
いいかげんな連中がいっぱいだから始末に悪い。

金庫破りと麻薬の密売のふとしたすれ違いが生んだトラブル。
大量のコカインと100万ドルを巡って繰り広がられる抗争。

でも本作品のミソは、最後に笑うのは誰かではなく
こんな状況下でも“友情”はいかに成就するのか?なんてテーマを
極めて薄っぺらでラフな物語にブチ込んだ点である。

状況説明や心理描写が過多な部分をもっと削ぎ落とせば
もっとクールでスタイリッシュなクライムノヴェルになっただろう。

麻薬捜査官ジミイと金庫破りフェイブの
幼少時代の交流ももっと描き込まれていれば
テーマがぐっと際立ち
ラストのカタルシスもさらに高まったと思う。

それでも悪くない。この不完全さが本作品の真骨頂。
たまにはお行儀なんか気にしないワイルドな読み飛ばしもいいぞ!

そんなこんなで
いくつかの瑕疵(特徴ともいえる)があるため星は3つ。
プラス0.5は他作品に期待ってことで。
どうやら私は結構海外のノワールものが好きらしい。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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