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== 海外歴史小説 ==

蒼穹の昴

浅田 次郎
講談社
★★★★★




清朝末期の人間模様をドラマチックに描いた歴史大作

【あらすじ】
清朝末期、貧村の農民の子として生まれた春児(チュンル)は
ある時、占い師にこう告げられた。
“汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさむるであろう…”
その予言を信じて宦官になろうと決心した春児だったが
清は迫り来る列強と腐敗した政治によって没落の一途をたどっていた。
瓦解していく清朝を舞台に繰り広げられる人間模様を克明に描いた歴史長編。

【読みどころとポイント】
NHKでドラマ化されたのを機に再読。ご存知浅田次郎のベストセラー。
冒頭では貧村で糞拾いをしながら生計を立てる少年春児が
不思議な占い師の老婆と出会い運命的な予言を告げられる。
自らの運命を信じて宦官になる事を決意し都に上る春児。

一方、同じ静海県出身で春児の兄貴分のような存在の梁文秀は、
どうしようもない不良息子ながら周囲の予想を裏切り
科挙に合格し進士となりやがて光緒帝に仕える事に。

この二人を軸に物語が展開するのかと思いきや
そんな簡単なストーリーとはほど遠い展開。
清朝末期のオールスターが次から次へと登場する
壮大な歴史絵巻が繰り広げられるのだ。

衰退する清朝に自暴自棄になりながら
政権に固執する孤独な女帝、西太后。
迫り来る列強との外交に奔走する将軍、李鴻章。
西太后の心を巧みに操りながら政権に触手をのばす栄禄。
光緒帝を擁して変法運動に身を捧げる康有為。

とにかく登場人物ひとりひとりがよく立っている。
うますぎる語り口と筆運び。憎らしくなるくらいの書きっぷりなのだ。

少年春児の“わらしべ長者”的安易な展開に陥らず
清朝末期の動乱と混乱をめぐる様々な人間ドラマを
まさにドラマチックに描き出した骨太な歴史小説。
やはり、一度は読んでおくべし。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 海外歴史小説 ==

ウィーンの密使

藤本ひとみ
講談社文庫
★★★



革命に揺れる混乱のパリ、青年士官とアントワネットの運命は?


【あらすじ】
オーストリアの青年士官ルーカスは
マリー・アントワネットの兄ヨーゼフ2世の密命を受け、
フランス革命の激震に揺れるパリに向かう。
王家の存続と体制を堅持しようとするルイ16世とアントワネットを説得し
立憲君主制への移行を画策するルーカス。
ミラボー、ダントン、ロベスピエールらを利用し
革命の流れに歯止めをかけようと奔走するが
ますます混迷を極めるパリの現状に恐れをなした国王は
アントワネットとともにひそかに脱出を企図する。

【読みどころとポイント】
本書に対する多くの読者の評価は高いようですが
私としては、う~ん。惜しい!といったところ。

時代の雰囲気もよく出ているしキャラクターも立っている。
ミラボー、ダントン、ロベスピエールといった
フランス革命の立役者が総登場するのも興味深い。

しかし少し残念な点を言わせてもらうなら
ルーカスがとる行動が消極的な懐柔策の域を出ていないこと。
(もちろん小説のレベルとしてですよ。)
歴史秘話とするのであれば、もっと大胆な着想で
ドラマチックな企てを用意しても良かったのではないか。

歴史が変えられないのは歴史小説の宿命ならば、
あわやの一発逆転劇をねらう秘策をうってほしかった。

アントワネットとルーカスはかつて幼なじみで
ルーカスは今もアントワネットに思慕をよせている。
アントワネットは定説どおり自由奔放で贅沢三昧の気ままな王女として描かれ
ルーカスの懐柔策にも耳をまったくかさない

アントワネットの気ままなふるまいにあきれつつも
肝心なところで手を差し伸べてしまうルーカスの優柔不断さは
自分の職務をまっとうするという義務感よりも
アントワネットへの思慕に端を発している。

ならば、ルーカスとアントワネットの幼少時代の交流や
若き日の交情などをもっと書き込んでおいた方が
より説得力が増したのではないかと思う。

とは言え、革命に混乱するパリの描写は見事だし
それがかえってルーカスとアントワネットの運命を際立たせている。

革命阻止を図る奇想天外の謀略ではなく
革命下の士官と王女の悲哀ドラマに重きを置いたのは
作者の企図するところであり、万人に受ける要因にもなっていると思う。
物語のテンポも早く会話も多いので
ドラマチックな舞台設定での歴史ロマンスを好む人にはオススメ。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 海外歴史小説 ==

カエサルを撃て

佐藤 賢一
中公文庫
★★★☆



ローマに反旗を翻す悪のヒーロー、ウェルキンゲトリクス!


【あらすじ】
ローマの侵略に苦しむガリア部族をまとめあげ
反旗を翻す若き闘将ウェルキンゲトリクスと、
ご存知ローマ軍総統カエサルの戦いを書いた歴史小説。
ポンペイウスの台頭に劣等感を感じるカエサルに
圧倒的な力と悪でローマに立ち向かうウェルキンゲトリクス。
激戦の果てに二人がたどりついた結末は?

【読みどころとポイント】
今回はミステリではありません。
古代ローマ、カエサルの時代を描いた歴史小説です。
最近は歴史小説もよく読みます。
歴史そのものが壮大なミステリですから。

でもって、今回は佐藤賢一です。
とにかく、ガリアの闘将ウェルキンゲトリクスの
圧倒的なキャラクターが強烈!
美しくも残虐な悪がローマを恐怖の底に陥れる物語の凄さよ!

一方のカエサルは老いと薄毛を悩み
世間体を気にしながらガリア戦記を必死に脚色中。
小心な姿をひた隠しながら
部下の前では冷静沈着を装う
不甲斐ないリーダーとして描かれている。

これまでのカエサル像を払拭したことで
若さと力を武器にローマ反撃を指揮するウェルキンゲトリクスを
一層引き立たせていることに注目!

それにしても、何と残虐なヒーロー像を描いたこと!
カエサルの妻をさらってやりたい放題。
これでもかの性描写。(映画化できません)
気に入らなければ見方でも何でも簡単に殺しちゃいます。
品格なんて言葉はウェルキンの辞書にはございません。

しかし、この圧倒的な悪の力があったからこそ
ガリアの民は結束するのです。
ガリアがローマ相手にどんな戦いを挑むのかも見所です。
はたして、カエサルは撃たれるのでしょうか?

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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