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== 冒険小説 ==

仏陀の鏡への道

ドン・ウィンズロウ
創元推理文庫
★★★★



文化大革命後の中国を舞台に探偵ニールが悪戦苦闘するシリーズ第2弾

【あらすじ】
ヨークシャーでひっそりと生活する探偵ニールの元に
またまたやっかいな仕事が持ち込まれた。
強力な植物成長促進エキスを作り出した有能な化学者が、
中国娘に心を奪われ、行方知れずとなったらしい。
渋々ながらも仕事を引き受け、香港に飛んだニールだったが
そこには想像も出来ない苦難が待ち受けていた!
文化大革命後の混乱冷めやらぬ中国を舞台に
探偵ニールが悪戦苦闘する人気シリーズ第2弾。

【読みどころとポイント】
文化大革命後の中国を舞台にして
とにかく、よく頑張って書きました!という感じ。
文革に関わる中国の社会背景をかなり調べたものと思う。

文革後の混乱と水面下での反体制者の攻防
謎の中国美女と米国科学者の亡命、CIA職員の暗躍など
いろんなネタを複雑にからませながら
骨太のストーリーに仕上がっている。

内容も探偵小説というより冒険小説に近い仕上がり。
1作目で軽口を連発していたニール君に
これでもかという試練が襲いかかる。
魔の九龍城で軟禁されたニール君の何と哀れなことよ。

しかしながら、文革に対する実質的な認識が乏しい私としては
やや助長な背景の説明がかえって煩わしく感じられ
前作のようなスピード感が無かったのが残念。
冒険小説としての仕立てと物語のリズム感が合わないのだ。

全体的に作者の書きっぷりの苦労が行間から感じられ
もうひとつ小説にのめりこむ事が出来なかったというのが本音。

それでも、ニール君が真面目な中国人の通訳の青年に
スラングを教えて徐々に打ち解けて行くシーン等は十分笑えるし
後半の神の頂への登攀シーン等はかなり良い出来。
山岳で迫り来る敵との攻防もスリリングでよろしい。

ラストのまとめ方はやや強引さを免れない印象ではあるが
この難しい時代の中国を舞台を設定した意気込みは買いたい。
さて、次は評価も高い3作目「高く孤独な道を行け」だ。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 冒険小説 ==

眠れる犬

ディック・ロクティ
扶桑社ミステリー(絶版)
★★★☆



14歳の生意気娘セーラと中年探偵レオの絶妙コンビが活躍するロードミステリ!

【あらすじ】
女優の祖母とロスで2人暮らしをするセーラの愛犬が失踪した。
セーラは警察に届けるが相手にされず、代わりに中年私立探偵を紹介される。
後日セーラは、紹介されたレオ・ブラッドワースを訪ねるが
犬探しに気乗りしない彼は相棒のキャスパーに対応をたのんだ。
しかし、後日キャスパーが死体となって発見されてしまった。
かくして14歳の生意気娘セーラと、中年探偵レオの愛犬探しが始まったが
そこには恐るべき罠が待ち構えていた。86年ネロ・ウルフ賞受賞作。

【読みどころとポイント】
兎に角、探偵レオの相棒をつとめる14歳の超小生意気な娘
セレンディピティ・ダールクィスト(通称セーラ)の造形がダントツ。
怖いもの知らずの減らず口で、出会う全ての大人たちに痛烈な言葉を浴びせる。
これはまさに、少女版「ニール・ケアリ(『ストリート・キッズ』)」だ!

ストーリーの骨格をなす事件もなかなか複雑怪奇。
愛犬失踪の鍵をにぎる彼女の母親は、マフィアとおぼしき男とこれまた失踪中。
おまけに2人の行く手に次から次へと死体が現れて
レオが謎の男たちにメタメタにされたり
セーラが誘拐されたりと、読みどころはいっぱいなのだ。

拉致されてもなお軽口をたたくセーラの姿も堂々としたもの。
セーラとレオは、反目し合いながらもどこかお互いに信頼を寄せ合いながら
見事な?コンビネーションで真相解明の旅を続ける。
生意気ながらも感受性豊かな少女セーラと
それを大人の目線で見つめるレオのからみが何とも微笑ましいのである。

物語はレオとセーラの2人の視点で交互に進み
プロットもやや混みいっているため、少し読みづらい印象を受ける。
全体の贅肉をそぎ落としてスリムな物語にしたら
もっとスタイリッシュで軽快なロードミステリに仕上がっただろう。

エンディングは次にも期待を持たせるような終わり方で
調べてみたら案の定、続編も出ているらしい。
またこの2人の冒険に付き合えるのはこの上なく幸せだ。

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== 冒険小説 ==

ボビーZの気怠く優雅な人生

ドン・ウィンズロウ
角川文庫
★★★☆



伝説の麻薬王に仕立てられた泥棒が繰り広げる冒険クライムストーリー!

【あらすじ】
海兵隊あがりのチンケな泥棒ティム・カーニーは、
服役中の刑務所で正当防衛のためにヘルズエンジェルズのならず者を殺し、
ムショにいながら命を狙われる身となってしまった。
そこに目をつけた麻薬取締局がとんでもない取引きをティムに持ちかける。
南カリフォルニアに君臨する麻薬組織の帝王、ボビーZの替え玉となって
メキシコの麻薬組織に拘束されている捜査官との人質交換に応じろというのだ。
ドン・ウィンズロウが描く痛快でスリルあふれる冒険クライムストーリー!

【読みどころとポイント】
容姿が麻薬組織の帝王ボビーZにそっくりであることから
Zの替え玉にされてしまった哀れなティム。
当局の話では、ボビーZは既にタイで死亡。
これはメキシコの麻薬組織も知らない極秘情報なのである。

ところがいざ人質交換の場所に赴くと
取引現場で銃撃戦が起こり作戦は失敗。当局の人質捜査員は死亡。
ティムはどさくさにまぎれてメキシコ麻薬ディーラーのもとへ逃走する。
予想外の展開にとまどうティムだったが
麻薬取引が築き上げたアジトに着くと、そこはまさに夢の楽園。

豪華なコテージに夢のようなご馳走、周りは美女だらけ。
ボビーZの優雅な日々を満喫するティムだったが
ここからドラマは一転、6歳の子どもを連れての逃避行へ。

タイトルの「優雅な〜」とは裏腹にスリリングな逃亡劇が
これでもかとばかりにアクションたっぷりに展開。これは痛快だ!
海兵隊で培ったサバイバル術を駆使して
迫り来る追っ手を次から次へと翻弄するティム。
派手な銃撃戦や過酷な山越えなど見せ場もたっぷり。

本物のボビーZの女、エリザベスとの甘いロマンスや
一緒に連れ歩く少年キットの恐怖心をあおらないように
これはヒーローのアクションムービーだよなんて思わせちゃう
ちょっとハートウォームな場面もあったりして泣かせます。

いや〜、ドン・ウィンズロウは何を読んでも面白い。
ラストは意外(ややありがち?)なオチもあり
まるでハリウッドのアクションムービーを見ているようだ。
このスピーディーで痛快なエンターテインメント、未読の方はご一読を。


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== 冒険小説 ==

脱出航路

ジャック・ヒギンズ
ハヤカワ文庫
★★★★★



一隻の帆船の運命と誇り高き人間たちの生き様を描いた海洋冒険小説の最高峰

【あらすじ】
第二次世界大戦末期、戦況が連合国側に大きく傾く中
ブラジルのベレン港から一隻の老朽帆船が出港した。
それはドイツ人男女を乗せた偽装船だった。
一行は中立国のスウェーデン船を装い
一路祖国ドイツを目指す。
しかし船齢六十年の船体に加え、
大西洋は連合国軍の圧倒的な制圧下にある。
荒波にもまれながら大海原をひた走るドイッチェラント号。
一方、乗組員たちの運命を翻弄するかのように
英国の北方ファーダ海域には
至上空前のスケールの大嵐が接近していた。


【読みどころとポイント】
冒険小説ファンを自負する人なら読んでいな者はいないほどの名作。
作者のジャック・ヒギンズは、第二次大戦を背景に
連合国、枢軸国、双方の人間たちの銘々伝を書き分けながら
物語に広がりと厚みを持たせダイナミックな人間ドラマへと昇華させた。

荒波にのまれ転覆寸前の状況に落ち入りながらも
何度も何度も死の底から奇跡の生還をとげる
老朽帆船ドイッチェラント号の姿は雄々しく感動的だ。

登場人物たちは、どうにもならない苦境におちいった時にも
やせ我慢を持ち前のジョークで吹き飛ばすロマンティックな奴ら。
緊急時には軍人だけでなく
乗り合わせた尼僧たちも男顔負けの活躍を見せる。
この物語では敵味方や男女関係なく
誰もが冒険ドラマの主人公だ。

ヒギンズは、戦争に翻弄されるちっぽけな人間たちと
圧倒的な猛威をふるう大自然のスケールを対比して描くことで
戦争という行為の愚かさを浮き彫りにし
登場人物一人ひとりの誇り高い生き様を見事に活写した。

物語の後半、空前の大嵐に翻弄されるドイッチェラント号の姿に
米・英、独の軍人たちそれぞれが戦への矛盾と
自分たちの生き方を重ね合わせ自問自答する場面がある。

クライマックスの連合国・枢軸国の隔たりを越えた
ドイッチェラント号をめぐる感動の救出劇は本書の白眉。
長く苦しい航海の果てにヒギンズが用意した結末は至高の光を放っている。

戦争に翻弄されながらも誇り高い生き方を堅持する人間たちの生き様を
一隻の帆船の運命とともに高らかにうたいあげた本書は
まさに海洋冒険小説史上に残る不朽の名作だ。

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== 冒険小説 ==

無頼列車、南へ

ブラウン・メッグズ
文春文庫(絶版)
★★★★☆

荒くれ者たちを乗せた大陸横断列車を操る見習い青年車掌の冒険活劇!




【あらすじ】
パンチョ・ビリャ討伐隊をメキシコまで運べ!
見習い青年車掌マッギルに大任の命が下った。
酒と賭け事にあけくれる騎兵隊員、アル中の獣医、
娼婦たちまで乗り込んで、大陸横断列車は大混乱。
さらにはVIPの大富豪一家を一緒に送るハメに。
おまけに助手を頼んだ相棒は
飲んだくれで喧嘩っ早い暴走野郎と来ているから始末に悪い。
いまにも爆発しそうな危険を乗せて、列車は一路メキシコへひた走る。
史実に基づくワイルドな軍用列車大冒険の旅のはじまり。

【読みどころとポイント】
どこにでもいる誠実で職務に忠実な青年が
急遽軍用列車の車掌に抜擢され
荒くれ者たちを手名づけ、一路メキシコを目指す大列車冒険活劇!

乗員は乱暴者の騎兵隊、娼婦、アル中獣医、エセ神父、軍馬。
この列車にはミスマッチな大富豪一家も同乗。
とにかく一難さってまた一難。アクシデントの連続だ。

冒険小説というと大抵は戦争や大自然の猛威などを背景に
タフな主人公が持ち前の能力でアクシデントを切り抜けるものが多い。
それはそれでスリリングなのだけれど、
どこか映画じみていて絵空事っぽいなって感じてしまう場合もあるんだな。

本書のように、フツーの真面目な青年が性格のよさを武器に(後半暴走あり)
かろうじて危機を回避していく物語って意外に少ない。
それだけに読者は親近感を感じて彼を応援してしまうのだ。

途中あまりにも車中のディテイル描写が多いので
展開が遅く感じることもあるかもしれないが
作者が祖父から聞いた史実をもとにしているからであり
リアリティを追求した結果でもある。

災難つづきのマッギル君だが、その成長ぶりも見事。
途中から犯罪者の逃亡に手を貸すわ、借りた金でポーカー賭博をふっかけるわ。
兵卒に対していっぱしの口をたたくわ、
大富豪の娘にまで…? なかなかのもんです。

それでもそこは冒険小説。大ピンチも来るんです。
マッギルがあまりの困難にくじけそうになっているとき
アル中の獣医官がかけるセリフが気に入ったので紹介しておこう。

「人間にとって、この世でいちばんだいじなものは自尊心だ。
こればかりは雑貨屋で買うことも、学校でおそわることもできん。
自分で身につけるしかない。いちばんむずかしいことだろうがね。」

キャシアス・マッギル君がこの大列車行で学んだものは
人間の欲望、弱さ、憎しみ、裏切り、恋愛、悲しみ‥そして友情と勇気。
そう、これは古きよき時代のアメリカの伝統を受け継ぐ
若者の大いなる冒険活劇であり成長小説でもある。
本書は絶版。明日にでも古本屋を探すべし!

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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