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== 国内小説 ==

邂逅の森

熊谷達也
文春文庫
★★★★★☆



過酷な大自然と対峙し獣を追う秋田マタギの生き様を活写した傑作

【あらすじ】
秋田県の貧村阿仁町打当に生まれた松橋富治は
父の後を継ぎマタギの道を選ぶ。
過酷な自然の中での獣たちの狩猟は
まさに命がけの闘いであった。
狩りを重ねマタギとしての腕をあげていく富次だったが
様々な人々との出会いが彼の運命を大きく変えていく。
大正から昭和初期にかけて、秋田マタギの波乱の人生を描く
山本周五郎賞、直木賞ダブル受賞の傑作。

【読みどころとポイント】
これだけインパクトのある小説を読むと感動が大きすぎて
しばらく次の小説を読めなくなってしまう。
そんな小説に出会えるのは1年に一度あるかないかだ。

舞台となるのは大正初期の山形県月山麓の雪深い貧村。
多くの者たちが農作に加え冬マタギの仕事に就いている。
当時、貧しい集落で生きるために必要な現金収入をもたらしてくれるのは
山に棲む獣たちだったのだ。

本書の主人公富次も父親の後を継ぎ秋田マタギの道を選ぶ。
14歳で出向いた初めての狩猟で、なす術も無く右往左往する富次であったが
先輩マタギたちの厳しい指導によってめきめきと腕を上げていく。

とにかく読者をぐいぐいと引き込む力強く骨太なストーリーが豪快だ。
厳しい掟に自らを律し、神聖な山へと分け入り
道なき道をゆき木や石と同化し獣たちと対峙するマタギたち。
バクチとも言えるような命がけの狩猟。
その迫真の闘いが眼前にダイナミックに繰り広げられる。

本書には文枝とイクという二人の女性が登場する。
富次と相思相愛になりながらも身分の違いで引き離される文枝。
不幸な生い立ちから娼婦に身を落としたイク。
彼女たちとの出会いがその後の富次の人生を大きく変えてゆくのだ。

思わぬ人々とのめぐりあいがもたらす人生の流転。
富次の人生の行方を追いたくて頁を繰る手がもどかしい。

動物たちとの死闘も緊迫感あふれる描写だ。
作者の熊谷達也は本書の執筆にあたり、
実際にマタギの人たちと山に入り丹念に取材したという。
その成果は物語にも存分にいかされ
マタギや獣たちの息遣いまでもが聞こえてきそうである。

そして凄絶な死闘の末に訪れる感動的なラストシーン。
富次を待ち受けていたのはかくも温かくなつかしい邂逅だった。

厳しい自然の中で必死にひたむきに生きる人間たちの生き様と
狂おしいまでの愛情、葛藤、人生への咆哮を
激しくそして温かく描き切ったこの素晴らしい物語を
一人でも多くの方に読んでいただきたいと切に願う。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 国内時代小説 ==

竜馬がゆく(前編)

司馬遼太郎
文春文庫
★★★★★☆




幕末の風雲児、坂本竜馬の生涯を鮮やかに描く傑作歴史小説!

【前半4巻のあらすじ】
幼少時代「寝小便ったれ」とからかわれた泣き虫の洟垂れ小僧「坂本竜馬」。
竜馬は嘉永六年、江戸の剣術修行に旅立ち千葉道場の門をたたく。
折しもこの年、浦賀沖にペリー率いる黒船が到来し江戸中は騒然とする。
勤王・攘夷熱が高騰し薩摩・長州が勢力を伸ばす中、
土佐藩では勤王党率いる武市半平太がクーデターを決起。
一方、武市のやり方に限界を感じた竜馬は脱藩を決意。
勝海舟との運命的出会いを経てついに軍艦を手に入れた竜馬は
新たな時代へと大きく舵をとっていく。

【読みどころとポイント】
年末から年始にかけて「竜馬がゆく」を読み直している。
幕末維新史上の奇跡と呼ばれた型破りの風雲児。
今さらここで延々と竜馬論を語るまでも無いのだが
何度読み直しても新鮮な感動があるのもまた事実。

司馬遼太郎は、幕末の社会背景と各藩の動向、
志士たちの葛藤と生き様をおりまぜながら
竜馬の飄々とした人物像と型破りの生き方を
鮮やかに見事なまでに描き出した。

「世に生を得るは、事をなすにあり」と語る竜馬は
自らそれを体現しながら徐々に周囲の人々に
我らが進むべき道とその生き方を知らしめていくのだ。

軍艦を手に入れ艦隊をつくり倒幕を果たし外国と戦う。
そんな奇想天外な竜馬の発想は
勝海舟という稀代の人物との出会いによって現実のものとなる。

物事をたえず俯瞰的な目線でとらえ世の情勢を分析し
江戸幕府ではなく“日本”を国という概念で見つめる竜馬の目は
すがすがしいまでに爽やかで、そして雄大なのである。

前半4巻では、武市率いる勤王の志士たちが奮迅空しく瓦解し
京都では薩摩との先陣争いで長州が没落する中
竜馬は軍艦を手に入れ徐々に周囲の人々を巻き込み
勝とともに新たな風を巻き起こさんとするまでが描かれる。

大海原をつき進む軍艦の甲板で自ら指揮をとり
日本の未来をひらかんとする竜馬の姿は
今の時代を生きる我々にも大きな力を与えてくれるだろう。
(後編へつづく)

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 映画 ==

トロン・レガシー

監督:ジョセフ・コジンスキー
配給:ディズニー

★★★



圧倒的な網膜の快楽。驚異のデジタルワールドに展開する戦い!

【あらすじ】
デジタル業界のカリスマ、ケヴィン・フリンが謎の失踪(しっそう)を遂げた。
それから20年たったある日、27歳に成長した息子サムに
父ケヴィンからのメッセージが届く。
メッセージに従って父のオフィスに足を踏み入れたサムに、
未知の世界への入り口が待ち受けていた。
1982年に世界初のCGを導入したSFアドベンチャー「トロン」の3D版続編。

【みどころとポイント】
とにかくこの世界観をやりたかった。それだけ。でもスゴイ!
CGでなくては表現できない驚異の世界。

黒と白とオレンジと青というシンプルなカラーコード、
光の軌跡が美しいバトルシーン、規則的に隊列されたプログラムたち。
無機質感を徹底的に打ち出し、暖かみのまるで無い演出。

とにかく作り物感いっぱいの映画だから
父と息子のやりとりが徹底的に浮いている訳で
それも何だかハリウッド映画らしいなって感じ。

3Dの飛び出し感は抑え気味で、どちらかと言えば
ややピントが甘いマイルドな質感。
この辺りは好みの分かれるところかも。
3Dギンギンで徹底的に作り物感を出しても良かったかも。

サウンドとスピード感はなかなかのものです。
ライトサイクルのバイクシーンは白眉ですよ。
その分、フィジカルなバトルシーンはチョットね。

メカニックデザインはじっくり見てみて下さいね。
けっこうこだわってますよ。
スタッフが楽しみながらつくった感じ満載。

でもとにかく理屈抜きに網膜の快楽を
とことん味わって下さいな。

んでもって、本年もよろしくお願いいたします。



┃ テーマ:今日観た映画 ━ ジャンル:映画

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