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== 現代ミステリ ==

利腕

ディック・フランシス
ハヤカワ文庫
★★★★★



己の恐怖心と闘い打ち勝つ不屈の男シッド・ハレーの活躍を描く傑作

【あらすじ】
調査員のシッド・ハレーのもとに、ある調教師の妻から依頼があった。
厩舎で期待されていた馬が次々と破れ出場不能になってしまうというのだ。
馬に不審な点は無く薬物の痕跡も見当たらないのだが
果たしてこれは何者かの陰謀なのか?
半信半疑で調査に乗り出したハレーだったが、
そこには彼を恐怖のどん底に陥れる脅迫が待ち受けていた。
アメリカ探偵作家クラブ賞、イギリスミステリ作家協会賞の
ダブル受賞に輝く競馬シリーズの傑作。

【読みどころとポイント】
騎手を引退したシッド・ハレーは競馬界で
徐々に調査員としての手腕を認められるようになってきている。
それだけに彼の活躍を疎ましく思う者たちも少なからずいる。

今回は競走馬を出走不能にする陰謀疑惑に関する調査と平行して
ハレーの元妻が巻き込まれた詐欺の調査と
競走馬を所有するシンジケート内での不正に関する調査の
3つのストーリーが展開する。

フランシスは、異なる3つの事件を手際良い筆運びで展開し
それぞれが独立しても成り立つようなドラマとして構成している。
しかも、各エピソードがメインストーリーを際立たせる重要な要素となっている。
いつもながら上手いな〜と感心してしまう。

自己を厳しく律し常にストイックで弱さに負ける事を何よりも恥じる男。
その頑固なまでの生き方に、やがて妻のジェ二イは愛想を尽かし彼の元を去った。
「自分に対して冷酷だわ。わたしはそれが我慢できなかったのよ」
元妻の言葉がハレーの胸につきささる。

その不屈の男が残った片腕に銃口をつきつけられ恐怖のどん底を味わう。
残された1本の腕を失う恐怖。体中が汗まみれになり恐怖にうち震えるハレー。
その脅迫にいったんは屈するものの、もう一度ハレーは立ち上がる。

落馬事故の後のある事件(「大穴」参照)で片腕を失ったハレーが
背筋も凍るような恐怖に見舞われつつも、己の恐怖心に打ち勝ち
悪を罰するまでの苦闘を誇り高く描いた傑作。

ディック・フランシスの書く主人公たちは
誰もが冷静でストイック、自分に厳しい確固たる生き方を持った者たちだが
けっして屈強なスーパーマンではない。
なかでもシッド・ハレーは“恐怖心”というものを
誰よりも知っているキャラクターなのだ。
だからこそ、彼が恐怖心を必死に乗り越える姿に読者は深く感動してしまうのだ。

シッド・ハレーの活躍は以降、「敵手」「再起」へと続いていく。
最後にフランシスファンなら誰でも知っている
シッド・ハレーの名言をここに記しておきたい。

「自分が永遠に対応できない、耐えられないこと、それは自己蔑視である」
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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