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== 現代ミステリ ==

狙われた大リーガー

ウィリアム・G・タプリー
扶桑社ミステリー文庫(絶版)
★★★



元大リーガーの息子誘拐事件に隠された陰謀に挑む弁護士コイン

【あらすじ】
ボストンで弁護士を営むブレイディ・コインは
クライアントの一人であるサム・ファリーナから
将来を期待された豪腕投手エディ・ドナガンの代理人になるように頼まれる。
その後エディは無事ボストン・レッドソックスに入団し
入団当初から連勝を重ね順風満帆のすべり出しに見えたが
一年目の後半から調子を崩し、その後失踪事件をおこし球団を解雇されてしまう。
退団後は妻とも離婚し細々と生計を立てるエディだったが
ある日、エディの息子のE・Jが誘拐され身代金の要求が来る。
そして、何故か犯人は身代金の配達係にコインを指名してきた。

【読みどころとポイント】
ボストンで金持ちのクライアントの弁護士業務を本業とするコインが
本書では選手のエージェントという立場で事件に関わることに。

日本人の多くがメジャーで活躍する今日、
スポーツエージェントの存在は特に珍しいものではないのだが
本作が出版(サンケイ文庫版)された1987年頃は
日本人にも馴染みが薄い職種だったにちがいなく
ストーリー的にも野球王国アメリカならではの設定といえる。

本作はミステリとしてはいたってシンプル。
プロスポーツの選手が巻き込まれる犯罪としての目新しさは無く
物語の経緯から大方の真相の察しはついてしまう。

ただし、つまらないかと言うとそうではなく
誘拐されたのが子どもなので全体的に緊張感も漂い
派手なアクションを好まない?都会派弁護士のコインが
渓谷で犯罪者とのワイルドなチェイスを繰り広げ
ハラハラ感たっぷりの演出も織り込まれている。

ダイナミックな自然の描写は相変わらず上手く
アウトドアライターをしていたタプリーの才が如何なく活かされ
このシリーズのひとつの読みどころともなっている。

犯罪に巻き込まれた選手と家族をめぐる愛や交流、葛藤も
なかなか良く描けていて読ませるし
物語のエンディングの刑事とコインのやりとりも良い。

タプリーは既に亡くなり、日本ではあまりメジャーになれなかったが
私の好きな海外ミステリ作家の1人だった。
上辞された作品はあまり多くはないが、
これからも少しずつ紹介していきたいと思っている。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 警察小説 ==

ウォッチメイカー

ジェフリー・ディーヴァー
文春文庫
★★★★



正確無比な連続殺人者と科学捜査・監察の天才ライムの熾烈な頭脳戦!

【あらすじ】
ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわれた。
被害者が死に至るまでの“時間のかけ方”にこだわる残忍な手口。
いずれの現場にもアンティークの時計が残されてい た。
しかも犯人が同じ時計を十個買っていることが判明。
四肢麻痺で科学捜査・監察の天才リンカーン・ライムは
尋問のエキスパートであるキャサリン・ダンスととも に
史上最大の難敵に捜査を挑んでいくが…。
シリーズの最高傑作と評されるベストセラー作品。

【読みどころとポイント】
恥ずかしながら、ジェフリー・ディーヴァーは初読。
映画でボーン・コレクターを観たくらい。
噂に違わず、緻密な構成。どんでん返しの連続。
結論は、さすがのベストセラー作品だった。

完全犯罪の遂行に至福の喜びを感じるウォッチメイカーと、
科学捜査・監察のエキスパートであるリンカーン・ライムの
ハイレベルな頭脳戦には、ホントに舌を巻いてしまった。

主人公であるライムは自分にも部下にも厳しい規律を課しており、
頑固で喰えない堅物のキャラクター。
(映画ではD・ワシントンが好演)
読者の共感をあまり呼びそうにも無いが、
周りを固める個性豊かな捜査陣が人間味溢れていて、
素晴らしいチームプレイを披露してくれれる。

今回は尋問のエキスパートであるキャサリン・ダンスが加わり
これまで以上に(読んでないが)捜査内容もぐっと厚みを増した。
そのチームをもってしてもこのウォッチメイカーは相当に手強い相手だ。
時計が寸分違わず時を刻むが如く、正確無比に完璧に犯罪を遂行していく。
頭が良すぎて憎たらしさよりも、畏敬の念すら抱いてしまうほどだ。

リンカーン・ライムシリーズの最高傑作の呼び声も高いそうだが、
その通り、確かにハイレベルの作品に仕上がっている。

これまで、高水準の作品で読者を欺き続けてきた作者だけに
これくらいの内容にしないと読者は納得しないのだろう。
それだけに、やや作り込みの感があり、
かえってそれをマイナスポイントと評価する読者も多いはず。
天才作家の宿命か。ツラいね。

作者のディーヴァーが毎回ライムに課すハードルは高く厳しいが
それは作者ディーヴァーにとっても、超えなければならない壁なのだ。
ライムとディーヴァーの厳しい戦いから今後も目が離せない。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== 現代ミステリ ==

白夜に惑う夏

アン・クリーヴス
創元推理文庫
★★★☆



白夜のシェトランド島に起こった事件をめぐるペレス警部の活躍

【あらすじ】
イギリス最北に位置するシェトランド島に白夜の夏が訪れた。
地元警察のペレス警部は恋人のフランに付き添って
彼女が友人のベラと共同で開催する絵画展に赴いた。
そこでペレスは、一枚の絵を前に急に嗚咽する奇妙な男を目にする。
その後、その男は逃げるように会場から姿を消し
後日、その男とおぼしき者が死体で発見され殺人と断定される。
この男は一体何者なのか?犯人は島の住民か?
アン・クリーヴズが贈るシェトランド四重奏の2作目。

【読みどころとポイント】
冬が長いシェトランドでは、夜なお明るい白夜が
住まう人々を躁状態にさせてしまうそうだ。
夏だというのに、物語全体に何となく鬱陶しい雰囲気が満ちている。

本作も前作同様、島内で殺人事件が起こり
ペレスが島民一人ひとりにじっくりと話を聞きながら
徐々に事件の真相に迫って行くストーリーだ。

筋立て地味ながら、あいかわらずシェトランド島の風景描写と
島の人々のキャラキターや生活ぶりを丁寧に書いている。
謎解きよりも、ペレスと島民の対話を通して
都会から離れた彼らの飾らない暮らしぶりと、
人生の喜びや哀しみ、ささやかな夢を垣間見て行くことがこの物語の醍醐味だ。

また、物語の横軸としてバツイチどうしのペレスとフランが
お互いに気をもみながら愛情を深めて行くプロセスが描かれ
これもまたひとつの読みどころとなっている。

今回もプロットは地味だが、冒頭でいくつかの魅力的な謎が提示され
真相もかなり後半にならないとわからない構成となっており
ミステリとしても、かなり期待をもって読み進めたのだが
この点に関してはやや期待不足という感は否めかった。

いくつかこの点での課題をあげるとすれば、
全編にわたってぎっちり書きこまれた島民への聞き込み内容が
真相解明にあまり役立てられていないこと、
後半に真相解明の重要な手がかりとなる「ある物」が発見されるが
その提示がかなり遅く、逆に発見以降の解決があまりにあっさりすぎること。

ミステリとしての完成度はやや弱いものの
それでもこのシェトランドシリーズは読み応えがある。
何しろ、後半まで読むと
“島の人々を誰も犯人にしたくなくなる”のである。
シェトランド四重奏の3作目にも大いに期待をしたい。

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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