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== 現代ミステリ ==

告 解

ディック・フランシス
ハヤカワ・ミステリ文庫
★★★



過去の競馬界で起きた不祥事の真相に新進の若手映画監督が挑む!

【あらすじ】
「私は…彼を殺したことを告白します」
末期癌で意識が朦朧となった老人の元装蹄師は、
枕元にいた新進の映画監督トマス・ライアンを神父と間違えて謎の告白を残す。
その後ほどなく元装蹄師は息を引き取り、トマスはさして気にもとめなかった。
トマスは過去の競馬界で起きた不祥事を題材にハリウッド映画づくりに努めていたが
不祥事の真相をめぐり脚本家との対立が顕著になっていた。
そんな折、ロケ中止の脅迫が舞い込み出演者がナイフで襲われ
やがてトマスにも魔の手がしのびよる。フランシス33番目の作品。

【読みどころとポイント】
ディック・フランシスの作品では競馬若しくは競馬に関連する題材が
ミステリの背景として扱われているため、
主人公は騎手や競馬に直接関わる職種に就いている事が多かったが
後期の作品では多彩な職業人が登場するようになり
それぞれの職種の知られざる面を読んでいく楽しみが増えた。

本作の主人公トマスは若手実力派の映画監督で
競馬を題材にした映画づくり取り組んでいるという設定だ。
本作では映画づくりと同時進行で物語が進んで行くため
さまざまな場面でハリウッドにおける映画づくりの舞台裏を
かいま見る事ができて実に興味深い。

映画は監督以外にも、映画会社、スポンサー、脚本家、演出家、俳優など…、
さまざまな職種の人々が関わる共同制作のビジネスである。
作中で制作される映画は、過去に英国の競馬界で起きた
実在の不祥事を題材にしている。
迷宮入りした当時の事件を作品として出版した作家が
自ら脚色し映画の脚本として再構成したものだ。

基本的には脚本があるのだからそのまま映像化すれば良いのだが
ハリウッドの映画づくりはそう簡単にはいかない。
ビジネスとして成功する映画に仕立てるには
必要に応じて脚本や演出を柔軟に変えていく作業が必要なのである。

原作を描いた作家はアメリカとイギリスで名誉博士号を取得している実力派で
脚本を書き換える監督のトマスに敵意を抱き様々ないやがらせを図る。
こうしたアンチな存在や個性的な映画スター、スポンサーたちを懐柔しながら
苦労して作品を仕上げていくプロセスは
さながら一級のビジネス小説を読んでいるようで興味深い。

今回★3つとしたのはミステリとしてのプロットがやや弱いから。
プロローグで謎の言葉を残したまま末期癌の元装蹄師が息を引き取るが
その後たいした事件も起こらないまま物語は映画づくりを中心に展開。

映画づくりの舞台裏を描いたサイドストーリーの方が前に出過ぎていて
フランシスの作品にしては全体的にサスペンス性に乏しいのである。

ところがミステリとしての謎解きが弱いかと言うとそんな事はなく
いったい何故映画づくりを妨害しようとする輩がいるのか
ナイフで殺人を犯してまで隠そうとすることは何なのか
かなり後半にならないと事件の真相や犯人がまるっきり分からない。

トマスが映画の題材となっている過去の不祥事の背景を探るプロセスが
本作のミステリと有機的につながっている点がミソなので
そこはぜひじっくりと読み込んでほしいと思う。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== Comment ==

思い出せない…
う~む、どのような話だったか、さっぱり思い出せません。
こんな調子なら、ディック・フランシスをゆっくり読み直してみても十分楽しめそうです。
話は変わりますが、最近早川書房は評判がいいですねぇ。ぼけているのはぼくだけで、ボケミスの装丁を変えた頃かららしい。文庫になった「卵をめぐる祖父の戦争」なんて、とてもおもしろくて、いやあいい小説をだしているじゃないか、と感心しています。
ディックさんへ
良いミステリは何度読み返しても良いものです。フランシス作品は何とか全作レビューをアップしたいと思っています。





        
 

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