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== 現代ミステリ ==

川は静かに流れ

ジョン・ハート
ハヤカワ文庫

★★★★☆



川の流れの如くゆったりと流れる重厚な家族の物語


【あらすじ】
アダム・チェイスは5年ぶりに生まれ故郷に帰ってきた。
5年前にある事件の容疑者として逮捕され
無罪放免で釈放されたが街に居づらくなり故郷を出たのだ。
ところが苦境に陥った親友からの依頼で
やむなくアダムは故郷に帰るハメになった。
しかし彼を待ち受けていたのは新たな事件だった。

【読みどころとポイント】
この作品は単純なミステリの範疇に収まらない
親と子の愛、兄妹の絆、幼なじみとの友情を
切なく描き出した屈指の物語である。

5年前の事件で家族の中に大きな溝が生まれ
アダムの心にも大きな傷が残った。

かつての事件から5年がたったとは言え
川辺の田舎町ではアダムの帰省を歓迎してはいなかった。
そしてアダムの周りで新たに起こる殺人事件。

またもやアダムに容疑の目が向けられ
街は不穏な空気に包まれる。
かつての恋人ロビンは地元の刑事となっており
アダムと職務の間で心が揺れ動く。

この物語には実に多くの人物が登場するが
脇役ひとり一人にいたるまで細かな目線が行き届き
重層的な人間ドラマが鮮やかに展開される。

過去の事件と現在の事件が有機的に結びつく展開は
ミステリとして、いささか新鮮味に欠けるけれども
それでもこの物語のクオリティを損なうものではない。

そして幼少時代の記憶の中に流れる川の情景。
ノース・カロライナとサウス・カロライナにまたがるこの川は
川辺に暮らすアダムたちの暮らしと共にあった。

その穏やかゆったりとした流れは
けっして戻れない過ぎ去った美しい時代を
象徴的に浮かび上がらせるモチーフになっている。

この作品はジョン・ハートという作家の
並々ならぬ技量を存分に味わえる作品である。
スリルやエンターテインメント性には乏しいけれど
それを補って余りあるこの芳醇なミステリを推したいと思う。

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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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