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== 国内小説 ==

ダック・コール

稲見一良
ハヤカワ文庫
★★★★★



美しく幻想的な調べが織りなす珠玉のハードボイルド

【あらすじ】
夏も終わりかけの河原で若者は石に鳥の絵を描く不思議な男と出会う。
驟雨を避け二人でキャンピングカーに避難したが
やがて若者はまどろみ六つの夢を見る。
自然への畏怖や愛惜、野生の厳しさ、男たちの矜持などを
美しく幻想的なハードボイルドに昇華させた必読の短編集。


【読みどころとポイント】
何度も読み返したくなる小説というものがある。
この物語を初めて読んだのはもう随分前になるのだが
今でも時折頁を開いて新鮮な感動を味わっている。

稲見一良は癌のため1994年に9冊を残してこの世を去った。
ハードボイルドと大人のメルヘンが融合したような
タフだけれどどこか透明感がある美しい物語を書ける作家だった。

本書は、日常の仕事に忙殺される生活に疲れ旅に出かけていた若者が、
石に鳥の絵を描く不思議な男と河原で出会うシーンから始まる。
二人は降ってきた雨を避け若者のキャンピングカーに乗り込むが
片言の会話も尽き男は眠り、やがて若者も夢の中へ誘われる。

夏の終わりの河原、石に鳥の絵を描く男との出会い、山を包む豪雨…
若者の夢想がそのまま以降の6つの物語へとつながっていくのだが
このプロローグから本編への入り方が映像的で何とも美しい。

少年と初老の男の密猟譚、アメリカ山中でのマンハント、
漂流した漁師が遭遇する不思議な出来事など、物語は多彩であるが
どれも味わいがありそこには静かな感動がある。

6つの短編はそれぞれ全く別のストーリーで趣も異なるものの
根底には自然への畏怖や愛惜、野生の厳しさ、男たちの矜持など
稲見流ハードボイルドが脈々と流れている。
作品を読むたびに彼の死が惜しまれてならない。

本書は第4回の山本周五郎賞受賞作。
小池真理子、宮城谷昌光、中島らも、安倍龍太郎など
錚々たるノミネート作家を退けての受賞である。

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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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