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== 現代ミステリ ==

エアーズ家の没落

サラ・ウォーターズ
創元推理文庫
★★★★




ミステリと文学が融合した美しくも残酷な滅びの物語

【あらすじ】
イギリス中部のウォリックシャー地方で栄華を極めたエアーズ家の一族は、
第二次世界大戦終了後、ゆっくりと着実に没落の道をたどっていた。
かつてエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、
往診をきっかけに一族との親交を徐々に深めていく。
一方、広壮なハンドレッズ領主館でひっそりと暮らすエアーズ家の一族に
次々と異変が続発し不穏な空気が屋敷全体を満たしていく。
ミステリと文学が融合した美しくも残酷な滅びの物語。

【読みどころとポイント】
時代の移り変わりと共に没落していく貴族の姿を克明に描いた作品。
かつて隆盛を極めた一族の滅びの様子を丁寧な筆致で
あくまでも美しくミステリアスに描き出した傑作である。

サラ・ウォーターズは「荊の城」や「夜愁」でも知られる通り
英国を舞台にしたミステリを手がける作家であるが
かつての英国の栄華に隠れた悲劇を描き出すのが実に上手い。
インタビューでも好きな作家にディケンズをあげており
作風もかなりディケンズを意識していると思われる。

本作では、壮大なハンドレッズ領主館で没落をたどる一族と
ファラデー医師の交流を軸に物語は展開していく。
一族との交流を深めるファラデーは足繁くエアーズ家を訪れるが
領主館を包む不穏な空気が徐々に一族の精神を蝕んでいく。

愛犬に訪れた悲劇、夜ごと頻出する不穏な物音、
部屋の壁や天井に浮き出る不気味な染み、
長兄のロデリックはやがて精神に異常をきたす。
果たしてこれは何者かの仕業なのか。

不気味な雰囲気を全編に漂わせながら
物語は読者を残酷な滅びの世界へ導いていく。

やや使い古された恐怖小説の構成をとりながらも
サラ・ウォーターズの鮮やかな筆さばきは
安直なゴシックミステリやモダンホラーに陥る事無く
かくも美しい滅びの文学に昇華させた。
これからの秋の夜更けにおすすめしたい作品だ。



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