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== ハードボイルド ==

ピアノ・ソナタ

S.J. ローザン
創元推理文庫
★★★★★☆



タフで心優しき探偵ビルが危険な潜入捜査に挑む傑作ハードボイルド

【あらすじ】
ブロンクスの老人ホームで警備員が殴り殺された。
被害者のおじから捜査を依頼された探偵ビルは
警備員に扮して潜入捜査を開始する。
手口から地元ギャングの仕業と警察は断定したが
ビルは納得がいかず真相の追及に奔走する。
タフで心優しき探偵ビルが相棒リディアの助けを借りて
危険な捜査に挑む人気シリーズ第二弾。

【読みどころとポイント】
ペアで探偵業を営むリディア&ビルの人気シリーズ第二弾。
リディア、ビルと回ごとに語り手が変わるが
今回は白人探偵ビルの視点で語られる骨太なハードボイルドだ。

ビルが潜入捜査をする老人ホームの立地は
ブロンクスの中でも少年ギャング団が仕切る荒れた一角。
高い塀で守られた本施設も一歩外に出ればそこはジャングル。
死の危険と隣り合わせなのだ。

本作の特徴は、土地開発にからむ汚職や高齢者介護、
ストリートチルドレン、ドラッグ、違法医療など
アメリカの現代社会が抱える諸問題を織り交ぜながら
それらを重層的に組み合わせてミステリの枠組みを構成した事だ。

悪が存在しそれを正義が裁くという単純な物語ではなく
アメリカの社会システムが生んだ複雑な都市の課題と
その結果生まれた人々の哀しみや偽善、エゴなどを
丁寧な筆致で紡ぎだした濃密な人間ドラマが形成されている。

タフだけれども感受性豊かな心優しいビルが
捜査の過程で出会う人々とのやりとりが何とも素晴らしい。
特にホームの高齢者アイダとのシーンが胸を打つ。
抑制が効いている分、泣けるのである。

物語の合間に挿入されるビルのピアノ演奏もポイント。
ビル自らの心の隙間を埋めんとするシューベルトの旋律は
優しく美しく卑しい街ブロンクスに一条の光をもたらしてくれる。

地元ギャング団「コブラ」との緊迫感あふれるやりとりや
ラストの攻防もスリリング。相棒のリディアも胸のすくような活躍を見せる。

作家ローザンの登場人物一人ひとりに向ける眼差しが優しく
どこか心温まる読後感も人気の秘密だろう。
アメリカ私立探偵作家クラブのシェイマス賞最優秀長編賞受賞も納得の出来映え。
未読の方にはぜひ読んでいただきたい一作。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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