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== ハードボイルド ==

夢果つる街

トレヴェニアン
角川文庫
★★★★★



「吹き溜まりの街」を往く警部補の哀感と孤独を叙情的に描いた一遍


【あらすじ】
カナダのモントリオール市の一地区「ザ・メイン」で奇妙な刺殺死体が発見された。
その死体は胸を一突きされて祈るような格好で路地にうずくまっていた。
30年以上街のパトロールを続けているラポワント警部補は、
丹念な聞き込みを続け徐々に真相に迫っていくが
そこには意外な犯人像と悲しい街の記憶が横たわっていた。

【読みどころとポイント】
海外ミステリ通ならばおそらく読んでいると思われる作品。
トレヴェニアンは寡作の作家ではあるものの、いずれの作品も評価が高く
「アイガー・サンクション」や「シブミ」あたりでご存知の方も多いだろう。

本作「夢果つる街」ではエンターテインメント性を抑えて
卑しい街をパトロールする老練な警部補を主役に
感傷的かつ叙情性あふれる芳醇なミステリを展開してくれた。

小説の舞台となる「ザ・メイン」は、カナダのモントリオール市の一地区。
通称「吹き溜まりの街」は猥雑で産業も荒廃し犯罪も絶えない。
ここで生活する者たちは夢を失い、街全体が疲れているのだ。

そして、この地区をパトロールするラポワント警部補もまた、
若くして妻を亡くし、心臓のそばに動脈瘤という爆弾をかかえている。
しかし、30年以上にわたってこの街を担当してきたラポワントは
この街の法律であり、「ザ・メイン」の掟であり、
街に生きる者たちを見守る、真の「警官」なのである。

一方、彼の部下として配属されたガットマンは大卒のエリート。
頑固で昔気質の地道な捜査を身上とするラポワントにとまどいつつも
彼と行動を共にするうちに次第に共感を覚えていく。

彼の元にころがりこむ若い娼婦とのやりとりも良い。
時々に挿入される二人の何気ない日常のシーンが
本作に漂う孤独と哀しみを浮き彫りにするのに一役買っている。
随所に挿入されるトランプ仲間との「罪と罰」の談義も奥深い。

肝心の物語は、この地区で発見された身元不明の死体の事件を
丹念な聞き込みによって真相に迫って行くという単純なもの。
いたってどこにでもあるようなストーリー、プロットも平板。
なのに、この深い余韻のある読後感はどうだろう。
物語全編に漂う哀感が読者の心をつかんで離さないのだ。

本作は1988年の「このミステリーがすごい!」で
スコット・トゥローの「推定無罪」を抑えて堂々の1位。
古い作品であるがまだ時折、古書店などで見かける。
未読の方は、秋深まるこれからの季節にぜひ手に取ってほしい。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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