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== 海外歴史小説 ==

ウィーンの密使

藤本ひとみ
講談社文庫
★★★



革命に揺れる混乱のパリ、青年士官とアントワネットの運命は?


【あらすじ】
オーストリアの青年士官ルーカスは
マリー・アントワネットの兄ヨーゼフ2世の密命を受け、
フランス革命の激震に揺れるパリに向かう。
王家の存続と体制を堅持しようとするルイ16世とアントワネットを説得し
立憲君主制への移行を画策するルーカス。
ミラボー、ダントン、ロベスピエールらを利用し
革命の流れに歯止めをかけようと奔走するが
ますます混迷を極めるパリの現状に恐れをなした国王は
アントワネットとともにひそかに脱出を企図する。

【読みどころとポイント】
本書に対する多くの読者の評価は高いようですが
私としては、う~ん。惜しい!といったところ。

時代の雰囲気もよく出ているしキャラクターも立っている。
ミラボー、ダントン、ロベスピエールといった
フランス革命の立役者が総登場するのも興味深い。

しかし少し残念な点を言わせてもらうなら
ルーカスがとる行動が消極的な懐柔策の域を出ていないこと。
(もちろん小説のレベルとしてですよ。)
歴史秘話とするのであれば、もっと大胆な着想で
ドラマチックな企てを用意しても良かったのではないか。

歴史が変えられないのは歴史小説の宿命ならば、
あわやの一発逆転劇をねらう秘策をうってほしかった。

アントワネットとルーカスはかつて幼なじみで
ルーカスは今もアントワネットに思慕をよせている。
アントワネットは定説どおり自由奔放で贅沢三昧の気ままな王女として描かれ
ルーカスの懐柔策にも耳をまったくかさない

アントワネットの気ままなふるまいにあきれつつも
肝心なところで手を差し伸べてしまうルーカスの優柔不断さは
自分の職務をまっとうするという義務感よりも
アントワネットへの思慕に端を発している。

ならば、ルーカスとアントワネットの幼少時代の交流や
若き日の交情などをもっと書き込んでおいた方が
より説得力が増したのではないかと思う。

とは言え、革命に混乱するパリの描写は見事だし
それがかえってルーカスとアントワネットの運命を際立たせている。

革命阻止を図る奇想天外の謀略ではなく
革命下の士官と王女の悲哀ドラマに重きを置いたのは
作者の企図するところであり、万人に受ける要因にもなっていると思う。
物語のテンポも早く会話も多いので
ドラマチックな舞台設定での歴史ロマンスを好む人にはオススメ。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== Comment ==

No title
なんか読んだような気がする本。
藤本ひとみさん、何冊か読みましたが、読んでいるときはおもしろいけれど、強い印象は残さない作家さん…。
デュマとか、遠藤周作さんの『マリー・アントワネット』とか、佐藤賢一さんとかと比較するからいけないのかも知れないけれど。
ディックさんへ
読んでいる時はおもしろいけれど…
その通りなんです。
重厚な歴史絵巻より、西洋の時代ロマンスものが
藤本さんの志向するところなのかもしれません。





        
 

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