== スポンサー広告 ==

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
┗ --:--:-- ━ Page top ━…‥・

== 海外文学 ==

停電の夜に

新潮クレスト・ブックス
ジュンパ・ラヒリ

★★★★★




インド系アメリカ移民たちの孤独と不安、夫婦の乖離を描いた珠玉の短編集


【あらすじ】
子供を死産した夫婦が停電の夜ごとに語り合う表題作をはじめ
戦地に家族を残して来た来客を見つめる少女の心のゆらぎや、
乗車した夫婦の乖離を感じひそかな夢を見るタクシー運転手の姿など、
身近な人々の微妙な距離感と孤独を
客観的かつ抑制された文章で淡々と描く。
O・ヘンリー賞やPEN/ヘミングウェイ賞など
文学賞を独占したベンガル人作家ジュンパ・ラヒリのデビュー短編集。

【読みどころとポイント】
この感覚は何だろう?これまで味わった事のない…
我々日本人の感性では予測しがたい微妙な感覚。

ジュンパ・ラヒリという作家は
カルカッタ出身の両親を持つベンガル人だ。
収録作品のほとんどにインド系移民が登場する。

異国での不安感や孤独感、夫婦間のわずかな心の隙間、
男女の目に見えぬ距離感など
人々の繊細な心のゆらぎを見事に描いている。

本作に収められたいづれの作品も
さしたるドラマチックなしかけや構成が無いにもかかわらず
ハッとする驚きや新鮮な感動を与えてくれる。

室内に置かれた小物や家具、衣装、食材などを
丁寧にカットバックで織り込みながら
日常のなにげない生活の情景に
移民の孤独、夫婦の乖離、男女の痛みをさりげなく描写する手腕は見事。

読者の予想を紙一重で少しずつかわしながら
意外な結末へと導いていく。

その才筆は美しく気品があり
それでいて情に流されない抑制された趣がある。

個人的には、インドからアメリカに移民してきた新婚夫婦を描いた
最終話の「三度目で最後の大陸」がベスト。
手の届きそうなヒューマンスケールの日常描写と
インド・アメリカ大陸間のダイナミックな構図との対比が鮮やかだ。

読後、一番大切な人にすすめたくなる一冊。





スポンサーサイト

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

┗ Comment:4 ━ Trackback:0 ━ 22:00:00 ━ Page top ━…‥・

== Comment ==

No title
自分が読んだ本のほうがコメントは付けやすいですが、知らなかった本がいろいろと出てくると、とても興味深いです。
ここのところ、そういう本が続き、興味深く読ませていただいております。
No title
ディックさん。コメントありがとうございます。
私もこの本は人から薦められたものです。
視野を広げる意味でも最近はできるだけ
いろいろな本を読んでいます。(小説以外も)
ディックさんの本棚は
ジャンルも広く洞察も深いので
立寄りが日課となってしまいました(笑)
No title
バンコランさん☆初めまして
同じ場所に長く住めば、そこが自分の場所になっているはずなのに。
何かが違うんだよね、という空気がずっと流れていたような気がします。
こういう感じって不思議ですね。
これからも、時々お邪魔させていただきますので、よろしくお願いいたします。m(__)m
Rokoさんへ
コメントありがとうございます。
確かにおっしゃる通り
すでに身近な場所であるはずなのに
周りの人との微妙な距離感って感じる時ありますよね。
それを説明的でなく淡々と表現した本作に敬意を表した次第です。





        
 

== Trackback ==

http://bencolin.blog9.fc2.com/tb.php/23-35a39a53
 
Prev « ┃ Top ┃ » Next
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。