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== ハードボイルド ==

凍りつく心臓

ウィリアム・K・クルーガー
講談社文庫
★★★★★☆



雪嵐が吹き荒れるアイアン湖畔を舞台に展開する傑作ハードボイルド

【あらすじ】
凍てつくような寒さに包まれたミネソタのアイアン湖畔の町オーロラ。
雪嵐が吹き荒れた日に老判事の死体が発見された。
頭部はショットガンで吹き飛ばされており明らかに自殺に見えたが
最期に判事と出会ったはずの新聞配達の少年が謎の失踪をとげていた。
元保安官のコーク・オコナーは真相をつきとめるべく捜査を開始した。
アンソニー賞・バリー賞ダブル受賞の傑作。

【読みどころとポイント】
舞台となっているアイアン湖畔の小さな町オーロラは
カナダ国境にほど近くインディアンの保留地が隣接し、
白人と地元住民の根深い対立の歴史がある土地だ。

主人公のコークは白人とインディアンの血がまじっており
白人と地元住民の仲介に奔走するも両者の溝は思うように埋まらず
ある事件をきっかけに保安官の職を追われるはめになる。
アメリカの歴史に暗い影を落とす白人とインディアンの対立を
両者の血を引くコークの視点から描く事で物語に深みを与えているのだ。

過去の苦い事件による挫折を引きずり家庭を顧みなくなったコークは
妻とも別居中で愛人モリーのもとへ通う日々を送っている。
愛する子どもたちのためにジョーとの復縁を模索し
家族との絆を何とか取り戻そうとあがくコークの苦悩が
等身大のストーリーとして書かれている点もポイントである。

舞台となっているアイアン湖畔の大自然の描写も素晴らしい。
真っ白な雪と透き通るような寒さに包まれた美しい風景。
吐く息も凍るほどの凛とした厳しい北米の大自然。

その懐に抱かれた住民たちは動物達と共に生き
自然の精霊の声に耳をかたむけ神話を語り継ぐ人々だ。
物語にいったん身を委ねれば、そこに住む人々の魂の叫びと心の痛みが
凍てつくような酷寒の描写と共にひしひしと伝わってくるのだ。

前半は物語の背景や人間関係をじっくり描くスローな展開だが
後半は大自然を舞台にしたアクションや銃撃戦など見せ場も多い。
そして傷だらけになったコークが相対する悲しい事件の結末。

最終章は何度読んでも本当に泣かされる。
感動はしても涙を流したくなるような小説はそうあるものではない。
私は不覚にも帰宅中の車中で泣いた。
既に絶版だが未読の方にはぜひ読んでもらいたい傑作だ。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== Comment ==

読み終えました
読み終えました。ありがとうございました。
ちょっと長くなりがちで、上手な作家だったらもう少し上簡潔にまとめるぞ、という難はあるのですが、初めての作品ということを考えればなかなかのもの。
先住民の問題を米国がどんな解決の仕方をしているのか、実際に小説の形でわかりやすく読んだのは初めてでした。
ミネソタって五大湖の西、カナダに接しているんですね。厳しい自然に対して畏敬の念を感じる感覚があれば、こういう小説になるのかなあ。
ふつうの米国人は、自然は征服する対象だと思っているから、コークの眼からでないと、こうはならないのかもしれない、などといろいろと考えてしまいます。
不正な投稿…
余談ですが、「不正な投稿」だというので、「○女作」を「初めての作品」と書き直したら通りました。
ほんとにそのせいですかねぇ。それともぼくが何か操作を間違ったのでしょうかね。
ディックさんへ
早速の読了、ありがとうございました。コークの眼は作者の眼であり、自然への畏怖は作者の価値観が色濃く反映されたのでしょうね。展開の遅さとやや説明過多な部分や日本人に馴染みの少ない民族問題を扱った点などもあり、あまり日本ではヒットしない作家のようですが、私は結構良かったなと思っています。
ディックさんへ
あっ、それと書き忘れましたが「不正な投稿」の表示の件は、私にもわかりません。FC2ブログ側で受け付けない機種依存文字等があるのかもしれません。お気になさらないで下さい。





        
 

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