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== 警察小説 ==

警視の孤独

デボラ・クロンビー
講談社文庫
★★★★



謎の連続放火と失踪事件に挑むキンケイド&ジェマの活躍

【あらすじ】
舞台は再開発が進むロンドンのサザーク地区。
ヴィクトリア朝の歴史的な建物が火事になり
持ち主は地域の再開発に反対していた大物政治家だったことが判明した。
現場からは謎の女性の死体が発見され、
スコットランドヤードの警視キンケイドが。
デリケートな捜査の担当をまかされることになったが
遺体の女性の身元は判らず、やがて第2、第3の放火事件が…。
キンケイド&ジェマが活躍する人気の警視シリーズ第10弾。

【読みどころとポイント】
本シリーズを読むのは初めてなのだが
本書は10作目で各国で翻訳されけっこうな人気らしい。

警視のキンケイドと警部補のジェマは
かつての上司と部下で今は別々の職場に従事しているものの
お互いの子どもを連れて同居生活を営んでいる。

プライベートではキンケイドの息子の親権を求めて
義理の祖父母が裁判を起こすなど心配の種がつきないが
そんな家族の日常を無視するように次々と難事件が発生する。

お互いの子どもを連れての同居だが結婚には至っておらず
おそらくシリーズの最初から読み続けている読者は
二人がいつ平穏な結婚生活にたどりつくのか
いつも気になっているに違いない。

女性の謎の失踪、行方不明となった10歳の少女。
そして第2、第3の放火事件の発生と
複数の事件が平行して次々に発生し事件は混迷を極める。
果たしてそれらの事件はすべて関連性があるのか?

本書のミステリとしてのうまさは、
それらの事件の関連性を読者に示唆しながらも
その係わりの真相をラスト近くまで隠し
モジュラー型警察小説のしくみそのものを
うまくミステリの筋立てとして組み込んだ点にあると思う。
この点は詳しく書けないので本書を読んで欲しい。

それともうひとつの読みどころ(こちらが主かな)は
錯綜する事件を丁寧に書き分けながら、なおかつ
登場人物一人ひとりの物語にスポットをあてた点だ。

キンケイドとジェマの家族ドラマももちろん
脇役ながら、連続放火に挑む若き女性消防士の活躍も見どころ。
圧倒的な炎の中に決死の覚悟で飛び込んでいく彼女の姿は
ポジティブで爽やかな性格も手伝い実に清々しい。

脇役に至る一人ひとりにまできめ細やかに視線をくばり
事件を通して人間ドラマや家族の愛を丁寧に書き込んだところが
本シリーズの持ち味らしくファンが多い所以だと思う。

私なりに難点をあげるとすれば
最近乾いた文体のハードボイルド系の小説に傾倒していたため、
やや説明過多な状況描写や心理描写がくどく感じられた事だ。
この点を抑えればもっと緊迫感あるミステリになったと思う。

とは言え、これからもキンケイドとジェマの活躍は
多くの読者を魅了していくのではないだろうか。
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┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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