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== ハードボイルド ==

闇よ、我が手を取りたまえ

デニス・ルヘイン
角川文庫
★★★★★



パトリックとアンジーが圧倒的な悪に挑む最高にスリリングなハードボイルド

【あらすじ】
女性精神科医ディアンドラからパトリックの元へある依頼が舞い込んだ。
マフィアとのトラブルに巻き込まれ息子の命が脅かされているというのだ。
事件への関与に躊躇しつつアンジーに後押しされ捜査に乗り出すパトリック。
一方、パトリックが親しくしていた少女が
磔にされた惨殺死体となって発見された。
その後も警察を嘲笑うかのように次々と発見される磔の死体。
20年前にアレック・ハーディマ ンが起こした事件と酷似していたが
ハーディマンは現在服役中。果たして犯人は誰なのか。
想像を絶する深い闇に挑むパトリック&アンジーの運命は?

【読みどころとポイント】
戦う探偵パトリック&アンジーのシリーズ第二弾。
前作よりはるかに重く暗い狂気が渦巻くダークな世界が展開する。
次々と発見される拷問を受けた無惨な磔死体。
20年前にアレック・ハーディマンが起こした事件との酷似、
パトリックのもとに届く謎の脅迫状。
法の正義など何の役にも立たない圧倒的な暴力が支配する演出が圧巻だ。

パトリックが幼少時代に父親から受けた虐待を
フラッシュバックのように挿入しながら
事件は20年という時を遡り街が長年にわたり抱えてきた積年の憎しみが
家族、友人、恋人を否応無く巻き込んでいく。

銃を常に携帯しマフィアからの脅迫にも屈しない二人は
けっして屈強でタフなスーパーマンではなく
死の恐怖に震える一般小市民としての側面も持っている。
それだけにハラハラさせられる場面がリアリティを持つのだ。

絶対悪に捨て身で向かうパトリック&アンジーの行動も尋常ではない。
まさに殺るか殺られるかの死闘と言ってよい。
二人に絶対の忠誠を誓う護衛役のブッバ・ロゴウスキも
殺人を屁とも思わない凶暴なキャラクターとして強烈な印象を残す。

互いに惹かれつつあるパトリックとアンジーだが
こんな事件にばかりに相対していれば身も心もボロボロで
ゆっくりと愛を語るヒマなど無いのだ。

とにかく最初から最後までテンションを落とさず
このスリリングな物語を描ききった点はスゴイの一言。
一度読み始めたら最後まで手をとめられない
最高にハードでエキサイティングなハードボイルド!

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== ハードボイルド ==

聖なる酒場の挽歌

ローレンス・ブロック
二見文庫(絶版)
★★★★☆



聖なる酒場が閉まる時、人は誰でも孤独になる…

【あらすじ】
マットの通う酒場周辺で二つの事件が起きた。
行きつけの酒場で飲み仲間のトミーの妻が殺され
トミー自身が殺人容疑に問われた。
一方、別の店の酒場から裏帳簿が盗まれ
その店の経営者がマットに帳簿の捜索を依頼してきた。
2つの事件の解明に乗り出すマットだったが
その真相は意外なほど根深かった。
1986年に発表されたアル中探偵マット・スカダーシリーズの第6作。

【読みどころとポイント】
本書はマットが10年前の事件を回想形式でつづった小説。
幾度となくおとずれる酒場のシーンが目にしみる作品だ。

全編が深夜のBarで流れるスロージャズのようにゆったりと流れ
大都会のかたすみで生きる者たちのうすっぺらな人生を描いていく。

逃走中の犯人を追いかける途中で一般の少女を誤射し
それを契機にマットは警察官を辞した。
妻とも離婚し別れた子どもたちとたまに会う程度。

人はなぜ酒場に通うのか。そこにはいろいろな理由があるが
心の隙間を埋めるのが酒の力だとしたら
夜ごと深夜の酒場にくりだし酒を飲むマット・スカダーもまた
何万本もの酒でも埋め尽くせない心の隙間を抱えた一人なのだ。

バーテンダーのビリーが「聖なる酒場の挽歌」なるレコードをかけ
酩酊状態のマットと二人でしみじみ聞きながら夜が更けていく場面がある。
「ここのところを聞いてくれ」とビリーが言った。

  だからもう一夜ぼくらは過ごした。
      詩と散文の夜を
  みんな孤独になるのがわかってるから
   聖なる酒場が閉まるときには

大都会ニューヨークの孤独と感傷を描ききった逸品。
まさに今宵はミステリに乾杯!

┃ テーマ:ブックレビュー ━ ジャンル:小説・文学

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== ハードボイルド ==

長いお別れ

レイモンド・チャンドラー
ハヤカワ・ミステリ文庫
★★★★★



哀切な男の友情と別れを一杯のギムレットとともに描いた巨匠の名作

【あらすじ】
フィリップ・マーロウは酒場で酔いつぶれたテリー・レノックスと出会い、
いつしか彼に惹かれ酒場で杯を傾けるようになる。
そんなある日マーロウはテリーから
“何も言 わず空港まで連れていってほしい”と頼まれた。
彼の手には拳銃が握られていた。
テリーを車で空港まで送りメキシコに向かう飛行機に乗せたが
後日彼の妻が死体で発見され、テリーは殺人の容疑者として手配されるが
彼はその後メキシコで自殺をとげてしまう。
テリーに殺人などできるわけがないと考えたマーロウは真相究明に動き出した。
ハードボイルドの巨匠レイモンド・チャンドラー不朽の名作。

【読みどころとポイント】
これまで多くの人々に読みつがれてきた小説で
いまさら感想を書くなど恥ずかしいのだが
何度読み返しても新鮮な感動がある作品である。

物語の冒頭、マーロウとテリーとの出会いはさして劇的なものでもなく
マーロウはテリーに惹かれるものがあったと簡単に語られるだけで
何故彼がそこまでテリーを助けるのかの具体的な説明はなされない。

それでも彼ら二人が酒を酌み交わす場面が秀逸で
読み手に彼らの絆を納得させてしまうのである。

容疑者を逃亡させた罪で投獄されようが
周囲から圧力をかけられようが生き方を曲げないマーロウ。
普通ならどうしてそこまでとなってしまうのだが
行間から立ち上って来る空気が
マーロウの行動を正当化してしまうのだ。

テリーの自殺後に全く別の事件の依頼がマーロウに舞い込むが
その捜査がやがて最初の事件とむすびつき意外な真相にたどりつく。
プロットはゆったり進みミステリとしての緊迫感やサスペンスは無い。

謎解きよりも全体の雰囲気とマーロウの生き方を味わう事が
本作品の楽しみ方と言えるだろう。

何度も出て来る酒場のシーン。
本作を読んでいると無性に酒が飲みたくなって来るのだ。

ほんのわずかしか登場しない脇役もよく立っている。
芝居がかったマーロウの皮肉っぽいセリフも
チャンドラーの小説では最高にかっこよく昇華されてしまうのだ。

一度読んだだけではわからないセリフの味わい。
読み返すたびに新たな発見がある小説というのはそうあるものではない。

本作を味わいつくすには私もまだまだ未熟ということだろう。
そう「ギムレットにはまだ早すぎるのだ」




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== ハードボイルド ==

ラスト・コヨーテ

マイクル・コナリー
扶桑社ミステリー
★★★★



過去の母親殺しに挑むハリー・ボッシュシリーズの問題作

【あらすじ】
ロサンジェルスを襲った大地震はボッシュの家も半壊させた。
恋人のシルヴィア・ムーアも家を出ていき空虚な日々を送るボッシュ。
そんななか、ある事件の重要参考人の尋問をめぐり
上司のパウンズ警部補とトラブルを起こしたボッシュは強制休職処分を受ける。
復職の条件である精神分析医とのカウンセリングを続ける彼は、
母親マージョリー・ロウ殺害事件の謎に取り組むことになった。

【読みどころとポイント】
容疑者の尋問方法をめぐって上司とトラブルをおこし
強制休職を余儀なくされたボッシュだが
精神分析医のカウンセリングが逆に
ボッシュを暗い過去へと導くことになろうとは何という皮肉だろう。

そもそもハリー・ボッシュシリーズは
犯罪捜査と事件解明に主題を置いていない。
事件の捜査を通じてボッシュは自分の人生を自問自答し
見えない出口を探してもがきさまようのが毎度のパターンだ。

事件捜査のプロセスは常に自身が抱える闇との闘いであり
ボッシュにとって自分とは何者かを必死に探し求めることでもある。
どの作品もハリー・ボッシュそのものの物語なのである。

これまで、ベトナム戦争の後遺症、過去の容疑者射殺事件など
常にボッシュが抱えるトラウマが物語の重要な位置を占めてきたが
その最も大きいのが幼少の頃の母親の殺人事件である。

最愛の母親の死はその後のボッシュの人生に暗い影を落とし
それが彼の警察官としての行動規範となっている。
そういう意味で本作品はハリー・ボッシュシリーズの
重要なターニングポイントとなる作品である。

本作では傷ついたボッシュを癒す存在として
ジャスミンという女性が登場する。
前作のシルヴィアと同様、過去に傷を抱えた女性であり
自分と同じ匂いを感じてボッシュは心惹かれたのだが
本質的に人を愛する事のできないボッシュは
いずれ彼女共とも分かれるのだろうと思う。

終章に母親殺しの意外な真相が明かされ
ボッシュの物語もひとつの決着を見るが
この後もボッシュシリーズは続いている。
果たしてこれからハリー・ボッシュはどこへ行くのか?
これからも本シリーズから目が離せない。






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== ハードボイルド ==

凍りつく心臓

ウィリアム・K・クルーガー
講談社文庫
★★★★★☆



雪嵐が吹き荒れるアイアン湖畔を舞台に展開する傑作ハードボイルド

【あらすじ】
凍てつくような寒さに包まれたミネソタのアイアン湖畔の町オーロラ。
雪嵐が吹き荒れた日に老判事の死体が発見された。
頭部はショットガンで吹き飛ばされており明らかに自殺に見えたが
最期に判事と出会ったはずの新聞配達の少年が謎の失踪をとげていた。
元保安官のコーク・オコナーは真相をつきとめるべく捜査を開始した。
アンソニー賞・バリー賞ダブル受賞の傑作。

【読みどころとポイント】
舞台となっているアイアン湖畔の小さな町オーロラは
カナダ国境にほど近くインディアンの保留地が隣接し、
白人と地元住民の根深い対立の歴史がある土地だ。

主人公のコークは白人とインディアンの血がまじっており
白人と地元住民の仲介に奔走するも両者の溝は思うように埋まらず
ある事件をきっかけに保安官の職を追われるはめになる。
アメリカの歴史に暗い影を落とす白人とインディアンの対立を
両者の血を引くコークの視点から描く事で物語に深みを与えているのだ。

過去の苦い事件による挫折を引きずり家庭を顧みなくなったコークは
妻とも別居中で愛人モリーのもとへ通う日々を送っている。
愛する子どもたちのためにジョーとの復縁を模索し
家族との絆を何とか取り戻そうとあがくコークの苦悩が
等身大のストーリーとして書かれている点もポイントである。

舞台となっているアイアン湖畔の大自然の描写も素晴らしい。
真っ白な雪と透き通るような寒さに包まれた美しい風景。
吐く息も凍るほどの凛とした厳しい北米の大自然。

その懐に抱かれた住民たちは動物達と共に生き
自然の精霊の声に耳をかたむけ神話を語り継ぐ人々だ。
物語にいったん身を委ねれば、そこに住む人々の魂の叫びと心の痛みが
凍てつくような酷寒の描写と共にひしひしと伝わってくるのだ。

前半は物語の背景や人間関係をじっくり描くスローな展開だが
後半は大自然を舞台にしたアクションや銃撃戦など見せ場も多い。
そして傷だらけになったコークが相対する悲しい事件の結末。

最終章は何度読んでも本当に泣かされる。
感動はしても涙を流したくなるような小説はそうあるものではない。
私は不覚にも帰宅中の車中で泣いた。
既に絶版だが未読の方にはぜひ読んでもらいたい傑作だ。

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